第2回討論会、共和党候補者達に打撃 アメリカのリーダーどう決まる?その29
Japan In-depth / 2016年10月11日 23時0分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
10月9日に行われた2度目の大統領候補ディベートは「タウンホール」と呼ばれる。これは候補者同士の討論というより、司会者が聴衆からの質問も織り交ぜながら、対話式に進める形式だ。候補者は、質問者が個人的に気になっている点について、わかりやすいように国家対策を具体的な例を持って答える。時には席を離れて質問者に近づいたり、カメラや参加者全員に向いて訴えかけたりする。自分が答える番でない時は席に座って口を挟まないのが暗黙の了解となっている。
ところが、そこにマナーもルールもわきまえない候補者が1人現れ、席につかず、威嚇するように肩を揺らして終始うろつき回り、質問者の名前にも質問の内容にも気にもとめず仏頂面で通し、司会者の制止も聞かず、ひたすら事実とは異なる主張ばかりを繰り返し、対立候補者を罵倒する人物がいたらどうなるのか?それでもとりあえず前回よりはマシだから合格、となるのがドナルド・トランプの期待値が低いためだ。
何しろ彼はそれまでの2日間、タウンホール式のディベートに備える余裕などなかったのだから。金曜日夜にワシントン・ポスト紙がスクープしたのは、トランプ主演の人気TV番組「ザ・アプレンティス」が好調だった約10年前、芸能ニュースを伝える「アクセス・ハリウッド」という番組の密着取材の際、マイクが入っているのに気づかず、下品に女性を見下す会話を録音したテープだった。
トランプは、その後発表した謝罪ビデオで、「これは昔のことで、ロッカールームで男同士がよくやるおふざけ」と言い訳をしたが、その内容は自分自身が女性に性的暴力を振るってきたことがあると認めているような内容だ。
ディベートでも同じ説明を繰り返しただけで、海外ではイスラーム国のテロリストが斬首しているのに、こんなことを取りざたしている場合ではない、と話題を逸らして失笑を買った。
それ以外にこのディベートで浮上したトランプの問題点はいくつかある。
・シリアの激戦区アレッポにどう対処すべきか、と問われて、ロシアを敵に回してでもアサド政権を倒すべきと主張したばかりの副大統領候補マイク・ペンスとまったく異なる見解を示し「アレッポはもう陥落したに近い」と言い、状況を把握していないことをうかがわせた上に、ペンスとは意見のすり合わせさえろくにやっていないことを認めた。
・先日ニューヨーク・タイムズ紙が報道した通り、1995年に多額の損失を計上し、それを利用して何年も連邦税を払っていないことを認めた。
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