世界都市総合力で東京3位に躍進 しかし課題も山積
Japan In-depth / 2016年10月19日 16時45分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
世界の都市力で東京がパリを抜いた、と聞いたら驚く諸氏もおられよう。一般社団法人森記念財団都市戦略研究所が18日に発表した「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)(注1)によると、東京はロンドンニューヨークに次いで3位になった。2008年に始まった同調査で8年連続4位だった東京は初めて順位が上がった。
ランキングが上がった要因は、海外からの訪問者数の増加と円安で物価や住宅賃料が下がったこと、羽田空港の国際化など。逆に順位を落としたパリは、去年11月の同時多発テロにより海外からの訪問者数が減ったことが響いた。アジアでは去年17位だった上海が12位へと大きくスコアを上げた。
東京の強みは、経済分野や研究・開発、生活利便性や都市内交通サービスであると分析、一方弱点は、居住コストや国際交通ネットワークなどとした。
同研究所は今回、GPCIに加え、人々の意識の中にある「都市のイメージ(Perception)の調査も行った。対象は、GPCI上位4都市(ロンドン、ニューヨーク、東京、パリ)にシンガポール、ソウル、香港、上海を加えた8都市。世界41都市に住む2132人に対してアンケート調査を行った。それによると、東京のイメージのランキングは、1位が「混雑した(Crowded)」、2位「テクノロジー(Technology)」、3位「現代的(Modern)」となっている。
また今回、その都市の訪問経験の有無によるイメージの違いも分析された。それによると、東京を訪れたことがない人は、「ストレスが多い(Stressful)」とか「うるさい(Noisy)」、「汚染された(Pollution)」などのイメージを持っているのに対し、実際に訪れた人は「礼儀正しい(Polite)」、「安全な(Safe)」、「清潔な(Clean)」などのイメージを持つことが分かった。訪日外国人旅行客が東京のよいイメージを持って帰国することで、日本のさらなるイメージアップにつながるという好循環が期待できそうだ。
森記念財団都市戦略研究所の竹中平蔵所長は今回の結果について、「かつて法人税、規制、交通アクセスが良くなれば(東京が)1位になるとシミュレーションしたが、この3つがドラスティックに変わったとは言えない。例えばタクシーなどは依然高い。潜在力がある農業・医療・社会福祉・教育など全般的に規制が残っている。イギリスなどは“Regulatory Sand Box:規制の砂場”といって自由にゼロベースで特区を作り規制緩和をやっている。日本も規制緩和を全般的に幅広くやっていく必要がある。小池知事と安倍首相はその点で合意している。」と述べ、東京都と国が歩調をそろえてさらに規制緩和に取り組む必要性を強調した。
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