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トヨタ・スズキ提携交渉“第2のトヨス”か? その2

Japan In-depth / 2016年10月22日 23時0分

今後、トヨタはスズキと傘下のダイハツとの関係調整に苦しむはずです。いまだにトヨタによるスズキへの出資の話が出て来ないのは、独禁法に抵触する恐れがあるからです。国内軽自動車市場でトップの、ダイハツとスズキ、2社のシェアを会わせると軽く60%を超えます。また、スズキは日産やマツダに、ダイハツはトヨタや富士重にOEMで車を供給していることもあり、生産台数では、2社合計が70%を超えることになります。結果、トヨタがスズキに出資することで、独禁法に抵触する可能性が出てくる訳です。

その点、日産は三菱自との軽自動車の合弁を持ってはいますが、日産・三菱自両社合せても、そのシェアは13%程度、仮にスズキと合計しても国内シェアは40%程度です。燃費偽装問題で、日産も三菱自も軽自動車の販売は激減、次期車は日産が主導で開発しますが、市場投入は随分と先、当面日産と三菱自の軽自動車事業は低迷を続ける可能性が高い訳です。

日産とスズキの間では、所謂地域や車種のオーバーラップは、この軽自動車以外では殆どありません。日産の収益頭は米国と中国ですが、共にスズキの存在は無いか極めて小さいものです。スズキはインド・パキスタン・インドネシア・ハンガリーなどで工場を展開、特にインドのマルチ社は乗用車で40%以上のシェアを獲得、スズキの収益の半分以上をインドから挙げており、当面この状況に変化は無いと思われます。これに対し日産のインド事業は惨たんたるものです。三菱自を介して東南アジアでの存在感を増す計画である日産、ここにインドでダントツに強いスズキが加われば、日産の事業基盤は磐石とも言えます。

また、日産とスズキは共にJATCOに出資しています。JATCOは日産系のトランスミッションメーカーですが、出資比率は日産75%、三菱自15%、スズキ10%です。ATと共にCVTの生産に強く、上記3社やルノーなどに販売、売上高は7,000億円を超える大企業です。エンジンと並んで、車の心臓部であるトランスミッション、その同じ生産会社に、日産とスズキは共に出資している訳です。それなら、ゴーン社長お得意の、部品の共有化・調達コストの削減には、スズキは相手としてうってつけです。スズキの世界生産台数は約280万台。日産自+ルノーの生産規模は850万台程度(含むアフトワズ)ですから、単純に合算すると1,130万台、これに三菱自の約100万台を更に足すと、合計は1,200万台を超え、トヨタの1,000万台を大きく上回って、まさに世界一の規模となる訳です(図2)。

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