「オクトーバー・サプライズ」後もスキャンダル止まず アメリカのリーダーどう決まる? その31
Japan In-depth / 2016年11月6日 11時0分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
108年ぶりにワールドシリーズ優勝を果たしたシカゴ・カブズ。地元イリノイ州だけでなく、(対戦相手のクリーブランドを除く)全米が心温まるニュースに沸き返ったのもつかの間、大統領選挙まで数日を残すこの時期になってもまだスキャンダルが相次ぐ。これもネット時代がなせる技か。
新たに見つかったクリントンのEメール問題。前回のコラムに書いた通り、FBIが追加調査を発表したEメールはクリントン自身のデバイスから発信されたものではない。「関連があるメールが含まれているかさえもわからないが、その可能性があるかもしれない」という不確かな段階で情報を公開したジェイムズ・コミーFBI長官に対し、民主党陣営は非難轟々。後日、彼は内部からのリークを恐れて先手を打ったことが明るみに出た。そして、トランプ陣営のルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長が、FBI内部の者から事前にこのことをリークされていたのをTV出演中に認めるという大胆不敵な行動に出た。
トランプ陣営のサポーターのスキャンダルとしては、共和党の大統領候補というライバルでありながら、副大統領の座を狙って味方についたものの、マイク・ペンスにその座を奪われ、今度は大統領就任準備委員会の委員長というポストを勝ち取ったニュージャージー州知事のクリス・クリスティー。だがトランプが大統領になったとしても、本人は裁判での証言で忙しいかもしれない。というのも、クリスティーの州知事再選を支持しなかった市長を懲らしめるためにマンハッタンへの重要な通勤ルートであるジョージ・ワシントン橋をわざと通行止めにして嫌がらせをしたカドで元側近2人が起訴され、有罪の判決を受けた。クリスティー知事は、自分には何も知らされていなかったと主張しているが、元部下は2人とも、通行止めの妨害のことをクリスティーが初めから承知していたと裁判中に証言している。
トランプ陣営は「選挙当日に公平な投票が行われているかどうか監視しよう」とボランティアを募集しているが、要するにこれは黒人やラテン系の投票者に対する嫌がらせや脅しであり、しかも共和党は1982年に同じような監視行動を行なった罰則として2017年まで選挙管理委員会の管理下にある。共和党委員会は「トランプ側の勝手な行動」としているが、民主党は既にこれを違反だといくつかの州で共和党を起訴済み。
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