ニュースに惑わされない大統領選の見方 アメリカのリーダーどう決まる?その32
Japan In-depth / 2016年11月10日 7時0分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
さて、いよいよ大統領選挙の日がやってきた。最後の「サプライズ」とされた、ヒラリー・クリントンのEメール追加調査の件は結局、ジェームズ・コミーFBI(連邦捜査局)長官が「起訴に値する有罪性はなかったとの見解は変わらない」と発表した。だが、FBI内に、ロシアのプーチン大統領と仲良くしたいと公言するドナルド・トランプに肩入れしている者がリークを厭わないという状況は、今後のコミーの立場を危うくするに値するだろう。
世論調査による全米支持率でもヒラリー・クリントン優勢は変わっていない。538の選挙人獲得数にどれだけの差をつけて勝てるかで、今後のアメリカの行方が左右されるだろう。
最後の土壇場で起きた選挙ニュースは次の通りだ。
・最後の最後でマイナスとなる発言を避けるために、トランプ陣営のスタッフは、彼からツイッターを取り上げた。
・ネバダ州での遊説中に、観客から「銃を持った人がいる」との声が上がり、シークレットサービスが、壇上のトランプを抱きかかえて舞台袖に引き揚げさせる一幕があった。結局、反トランプ派の共和党員がプラカードを掲げあげようとしただけで、銃はなかったことが判明した。この共和党員は多少手荒い扱いを受けた。トランプ支持者の中には、これはクリントン陣営による暗殺未遂事件!とまで騒ぐ輩も。
・期日前投票で、これまで投票率が比較的低かったラテン系の有権者の数が大幅に増えていることがわかった。これは今後のフロリダやネバダなどの州で共和党よりか民主党よりかといった「色」が変わっていくことを予測させる。
・結局トランプは納税記録を公開せずに選挙に臨む。さらに、ニューズウィーク誌が突き止めたところでは、彼が以前から「ウォートンというアイビーリーグの一流校でビジネスを学んだ」と自慢してきたものの、実際には親の口利きでフォーダム大学(地元ニューヨークの公立校)から転校し、2年間授業を取っただけで、ウォートン大のMBAを取得した事実はないという。
選挙開票は日本時間で水曜日の朝になるが、昼までに決着がつくものと目されている。注目すべきは以下の点だろう。
・アメリカでは東西で時差があるため、開票結果は東側の州から明らかになっていく。ニューヨーク、マサチューセッツ、ニュージャージー、コネチカットなどの州は開票早々、クリントン当確になるが、最北のニューハンプシャーだけは接戦になる。ここは最後まで赤青に揺れてきた地域で、選挙人数はたった4票だが、浮動票が最後の最後でどちらに流れるのかを占うという意味で重要な指針だ。
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