「選挙権は18歳」が常識である理由 年齢と権利義務の世界事情 その2
Japan In-depth / 2016年11月14日 15時15分
またも「話を戻して」だが、世界に目を向けると、選挙権は18歳から、被選挙権は25歳からという例が、やはり多いようだ。北朝鮮では、選挙権・被選挙権ともに、17歳から与えられるが、そもそも民主的な選挙制度など存在しない国であるから、あまり参考にはなるまい。
特徴的なのは英国で、選挙権・被選挙権ともに18歳から付与される。さらには、英国及びアイルランド、英連邦諸国もしくはEU諸国の国籍を持つ者は、選挙人登録をすることができる。英連邦諸国出身者までは、大英帝国の遺産と言うことだろうが、EU諸国出身者については、今次の離脱騒動によって先行き不透明となった。
ところで、前回述べた通り、日本においても選挙権が付与される年齢が、20歳から18歳に引き下げられたが、反対論がなかったわけではない。典型的なのが、内閣参与の飯島勲氏が『プレジデント』電子版に寄稿した一文だろう。
概略紹介させていただくと、氏の考えでは、選挙権年齢は18歳に引き下げるより、被選挙権と同様の25歳に引き上げてもよいそうだが、その理由が凄い。かつて女子大で教鞭を執った際、現職の大臣の名を答えられなかったり、講義中にスマホをいじる学生に悩まされたから、というのだ。そんな女子大生が、25歳になったら政治のこともちゃんと考えられるようになるという根拠が、どこにあるのだろうか。
またも英国を引き合いに出すと、実はこの国では、選挙権は18歳だが被選挙権は21歳から付与されていた。しかし2006年に法律が改正され、18歳でも立候補できるようになったのである。ある候補者が、議員たるにふさわしい資質を備えているか否かは、有権者が判断すればよいことで、年齢で区切る意味など無い、という判断だったという。これが常識というものであろう。
私は飯島氏が『週刊文春』で連載している政治コラムについて、現場に長くいた人だからこその面白い読み物だ、と評価していたのだが、この程度の常識にも達していない人だったのか、といささか幻滅した。次回は、女性の政治参加の話をさせていただくが、これはいわば前振りである。
(その3に続く。その1も合わせてお読み下さい。)
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