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トランプ勝利でCOP会場にも動揺? COP22参戦記 その1

Japan In-depth / 2016年11月17日 9時40分

余談となりますが、エネルギー資源にあれだけ恵まれた国が「エネルギー独立を目指す」ことを大きな目標に掲げているのに、エネルギー自給率わずか6%の日本でそのことに対する危機感をほとんど耳にしないというのはうすら寒い限りです。

トランプ氏はオバマ政権の環境・エネルギー政策を真っ向から否定している訳です。パリ協定に対しても否定的であり、「キャンセル」といった言葉も使われました。来年1月20日の就任と同時にパリ協定から引き上げるともうわさされており、国連温暖化対策プログラムへの資金拠出をゼロにし、その分を国民が必要とする「きれいな空気」「きれいな水」を供給する国内のインフラ投資に回すとも発言しています。

米国は大統領選挙が終われば現実路線に回帰するのが常であり、トランプ氏も経済や外交政策においては軌道修正の兆しも見えるようですが、気候変動政策についての軌道修正はあまり期待できないと私は考えています。その理由は、彼の支持層が気候変動に大きな問題意識を持っていないことです(下記図1参照)。ビジネスマンたるトランプ氏は、「顧客」である自分の支持層が関心を寄せていない課題について、政策的な優先順位は劣後させるであろうと思います。

▼図1 PEW RESEARCH CENTERによる調査

共和党全体の公約(政策プラットフォーム Republican Platform 2016:選挙向けの政策綱領)も、気候変動には重きを置いていません。温暖化は科学的に不確実性が残っていること、そもそも米国人の負担するコストによって米国人がメリットを受けることが可能なのかわからないのであれば政策として採用すべきではないというのが共和党の基本スタンスなのです。

政権移行に動き出すなか、環境保護庁の担当トップには、気候変動問題に懐疑的・否定的であることで有名な方が据えられました。クリーンエネルギーの研究開発に対する連邦政府の支出をゼロにするとも発言しており、昨年のCOP21で設立された「ミッション・イノベーション」の行方も不透明になっています。オバマ政権の環境・エネルギー政策を踏襲するとしていたヒラリー・クリントン氏ではなく、トランプ氏が当選したことで、パリ協定発効の祝賀ムードが吹き飛んだのも当然でしょう。特に途上国は、米国が資金支援を引き揚げてしまうことに懸念を抱いています。

今のところ米国交渉団は淡々と会議に参加していますし、数日後にはケリー国務長官も現地入りするそうです。しかし、トランプ政権誕生後その運営に係るスタッフも大挙してやってくるとも言われており、新政権スタッフが見ている前で何をどれだけ発言できるのかとささやかれていますし、威勢の良いコメントをしても「話半分」程度にしか受け止められないでしょう。

COP3で京都議定書採択に向けて積極的なコメントを繰り返したものの、結局議会に諮ることもなく離脱してしまった米国の過去を、各国は忘れていません。(詳しい経緯は「【緊急提言】誤解だらけの気候変動問題-米国の削減目標に左右されるな-をご覧ください)これからの1週間でどのような議論が行われるのか、またレポートしたいと思います。

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