トランプ氏政権移行チーム混乱 どこに向かう?アメリカ その1
Japan In-depth / 2016年11月18日 11時0分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
大統領選挙は驚きの結果に終わった。なぜそうなったのか、投票結果のデモグラフィックを分析したところ、予想外だったのは以下の点だ。
・ヒラリー・クリントンの白人女性票が伸びなかった。
・黒人、ラティーノの登録済み有権者の出足が悪かった。
・2000年のジョージ・ブッシュ対アル・ゴア大統領選と同じ、総数で獲得した票が上回った方ではなく、選挙人数を多く獲得した候補が勝った。
マスコミや世論調査団体の事前調査でなぜ、結果が予測できなかったのか。色々言われているが、結局のところ、トランプに一票を入れることが「やましい」ため、調査に応じない、あるいは自分の意思と異なることを答える有権者が多くいたということだろう。
選挙キャンペーン中に差別発言を繰り返してきたトランプが、ホワイトハウスに入ったら「まともな」大統領になるという考え方は甘い。既に選挙結果が明らかになってから1週間以上経つが、内輪揉め、さらなる癒着の表面化で移行準備すら進んでいない。
準備委員会を率いていくはずだったクリス・クリスティーがさっそく先週末に粛清の憂き目を見た。共和党の予備選ではライバルとして罵り合いもあったが、クリスティーはいち早くトランプ支持に回り、副大統領や首席補佐官の座を狙っているとされていたが、実はトランプの娘婿であるジャレッド・クッシュナーとの古い確執があることを日本のマスコミは伝えていないようだ。
クリスティーがニュージャージー州の司法長官だった時代に、トランプのような不動産王だったジャレッドの父、チャールズ・クッシュナーを違法政治献金、脱税などの容疑で1年間投獄したことがあり、真田家よろしく息子がクリスティーに一矢報いたことになる。ところが、クリスティーは既に移行準備委員長として機密保持などの書類に署名しており、それが白紙に戻ったことでオバマ政権は手助けをするにもその相手がいないという状態になっている。
こんな調子なので内閣や参謀の重要なポジションも埋まらない。もともと政治家や軍人としてのキャリアが全くないトランプには、すぐにスタッフとしてホワイトハウスで働けるような人材もコネもない。例えば、財務長官にならないかとJPモルガン・チェース銀行のジェームズ・ダイモン頭取にアプローチして断られたという噂が飛んでいる。仕方なく、2人の(ドラ)息子たちや娘やそのビジネスパートナーを駆り出そうにも、それでは任期中にビジネスが立ちいかなくなれば、「大統領の仕事を無償でやる」などと言っていられる状態ではなくなるだろう。
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