ワシントンD.C.の人々“悲喜こもごも”
Japan In-depth / 2016年11月22日 16時18分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(11月21日-11月27日)」
米大統領選挙から二週間、現在ワシントンでは一体何が起きているのか。過去の常識は非常識となり、外国人が知らない人々が俄然注目され始めた。権力とはかくも儚いものなのか。首都ワシントンではこれから外交安保系シンクタンク人材の供給過剰が起こるだろう。ポストの数には限りがあるからだ。
まず、オバマ系の「都落ち」組が帰って来る。一方、共和党系専門家の多くはトランプ政権には入れない。トランプを思いっ切りこき下ろした書簡に署名してしまったからだ。だが、最も哀れなのは自称「ヒラリー側近」たち。4年前、ヒラリーと共に政権を去った彼らは彼女の大統領選勝利を確信していた。
4年前よりも上位のポストという彼らの夢はトランプ勝利で脆くも消えてしまった。つい最近まで「どのポストにしようか」などと皮算用していたヒラリー派の連中は雲散霧消するのか。日本にやってきては「ヒラリー勝利は確実」などと宣伝し、猟官運動まがいの動きをした人々もいた。こうなると哀れだ。
〇欧州・ロシア
APEC首脳会議で日露首脳会談が行われたことは既に報じられている。それにしても、日本のメディアは発想が面白い。トランプがプーチンを持ち上げただけで、「米露接近」の可能性大となり、それが日露交渉に与える影響を真剣に論じている。筆者には、なぜ米露関係改善が既定事実のように報じられるのか、どうしても分からない。
〇東アジア・大洋州
韓国大統領が窮地に陥っている。それにしても、韓国の人々はなぜ大統領をそんなに邪険に扱うのか。仮にも一国の元首であり、国民の象徴でもある人物を彼らはいとも簡単に葬り去る。大統領も大統領だが、彼女を選んだのも国民ではなかったのか。こんな極端に振れる政治が続く限り、韓国民主主義の成熟はまだまだ先のようだ。
一方、報道ではGSOMIA(General Security of Military Information Agreement:軍事情報保護協定)が今週中にも署名されるそうだ。22日の閣議で大統領が認めればという話だが、それが実現すれば韓国の国益にも適うのだが。今後の大統領の去就については諸説ある。早期辞任、特別検察官の捜査、大統領弾劾手続きなど、今も星雲状態だ。韓国政治の安定を祈るしかない。
〇中東・アフリカ
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