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東京都働き方改革その1 残業代年・514億円!? 東京都長期ビジョンを読み解く!その39

Japan In-depth / 2016年11月23日 15時0分

すでに崩壊している(いやそもそもないところも)地域社会で公共的なことを引き受けることは難しく、社会の複雑化とともに地域では対応できないことが増える。そのため都庁職員の出番となる。このことは仕方ないのかもしれない。

 

3 仕事が増大してしまう問題構造

仕事が増えてしまう理由として私は以下の要因が大きいと考える。

(1)不明朗な役割分担

都民からの要求にどこまで対応すべきなのか、国・市町村・企業との役割分担はどこまでやればいいのか、が明確に定義されていない。そもそも、都民に対して「これしかできません」「どうか我慢してください」ということはできないことも多い(そんなことを言ったら議員を通して批判がきて、自分の立場が悪くなる)。また、民間の仕事をどう考えても圧迫しているような事業・業務もある。

(2)事務事業の見直しが進まない行政経営システム

地方自治体の行政経営システムにおいて、事務事業を廃止・統合するといった取組みは、財政状況が厳しくなるなどの必要性がないと発動されない。誰から見ても「無駄な」事業であっても、そこに利害関係者がいる限り、その方々に廃止を納得してもらわないといけないわけで非常に大変である。都民から議員を通して、もしくは直接知事へのクレームも出てくるわけで、廃止するためわざわざ苦労するより、「先送り」の選択のほうが楽なのだ。廃止に向けて動いたとしても、途中でどこから横やりが入るかわからない。

また、新たなトップが新たな政策を掲げれば掲げるほど、新たな仕事が増える。しかし、たいてい既存事業の見直しは進まないので(選挙を意識するトップは事業を廃止することを嫌がるため)、しわ寄せが職員に残業という形で来るという構造だ。

(3)改革要素が人事評価上に入っていない

必要性の薄い事務事業をやめる、残業時間を減らす、業務改善に取り組むといった行為が人事評価上において評価要素にあがっていないことも上記2つの要因を支えている。

東京都の人事評価は以下の通り。

①  一般職員の評定要素

・業績評定: 仕事の成果

・プロセス評定:職務遂行力、組織運営力(監督職)or組織支援力(一般職)、取組姿勢

②  管理職および管理職候補者の評定要素

・業績評価:職務の実績

・能力評価:職務遂行過程において発揮された能力(課題設定力・実行力・組織運営力)

ここには「改革力」は存在しない。

上記3つの要因1つ1つとってもとても難しい問題であることがわかるだろう。

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