大統領官邸爆破テロ阻止 厳戒態勢のインドネシア
Japan In-depth / 2016年12月15日 11時0分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
インドネシアの首都ジャカルタ中心部にある大統領官邸(イスタナ)に対する自爆テロ計画が実行寸前に阻止される事態が起きた。インドネシア国家警察は12月12日、反テロ法違反容疑でインドネシア人男女7人を同日までに逮捕したことを明らかにした。
国家警察によると、容疑者たちは大統領官邸に対する自爆テロを計画しており、逮捕者には自爆の実行犯になるはずだった女性が含まれているほか、自爆に使用する予定の圧力鍋を利用した爆弾も押収された。
自爆テロは12月11日に大統領官邸で実行される予定だったとされ、直前に阻止した形となり、一命をとりとめる形となったジョコ・ウィドド大統領は国家警察を高く評価するとともにテロに対する毅然とした姿勢を明らかにした。インドネシアではイスラム過激組織によるテロと同時にジャカルタ特別州知事選に絡むイスラム教徒とキリスト教徒による宗教対立も浮き彫りになっており、今後クリスマスや新年といった人々が集まる機会、教会やホテル、ショッピングモールなどの場所で不測の事態を懸念する声も高まっている。
■狙われた大統領官邸の一般公開日
国家警察によると自爆テロは12月11日(日曜日)に決行が予定されていたという。同日は今年7月以降、毎月第2日曜日に一般公開されている大統領警護隊(パスパンプレス)の交代式の当日で、一般市民に紛れ込んで大統領官邸に入り込み自爆する計画だったという。
国家警察のテロ対策特殊部隊(デンスス88)は、情報収集と監視の結果、12月10日に中部ジャワ州の古都ソロから2人の男が乗った車を密かに追跡。ジャカルタ首都圏のブカシで女性が合流、郵便局からこの女性が自分の両親に宛てて小包を発送するのを確認した。その後、この女性が賃貸しているアパートに入り、残る男2人が車で再び移動したため、まず男2人を逮捕、ついでアパートにいた女性の身柄を拘束した。
この女性は27歳でアパートにあった黒いリックサックから圧力鍋が発見され、鍋には約3キロの高性能爆弾が詰められていたという。次いで中部ジャワ州で爆弾製造に関わったとされる別の男性ら4人を逮捕、一人の自宅から大量の爆薬を押収した。
テロはこの女性が圧力鍋爆弾を入れたリックを背負って官邸で自爆するシナリオだったとしている。押収された女性が両親に宛てた小包からは「私の殉死を神が受け入れるよう祈ってほしい」などと書かれた遺書らしき文書もみつかっている。
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