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シリア国境、IS掃討作戦の現実

Japan In-depth / 2016年12月20日 19時12分

キャンプからトルコ国内への移住の実態はどうなっているのか。実態は、キャンプにいるよりトルコの街中にアパートを借りて住んでいる難民の方が何倍も多いという。既に国内の難民受け入れ態勢が飽和状態にある。が、逆にキャンプにいたいという難民もいる。久保田氏によると「アパートのお金。最初は補助があるが打ち切られる。キャンプに行くと医療もすべて無料。」だからだという。

街中に住むと、お金を持たないシリア難民は生活が困窮するという。町に住むシリア難民に久保田氏は取材をした。そこにいた女の子は、トルコに来る前に銃撃されて足をなくしてしまった。7,8歳くらいだろうか、成長期の少女は義足が合わなくなり、歩くのがつらく、最近学校に行っていないそうだ。

また、久保田氏はシリアの国境に近い町にある、シリア人のドクターが運営するクリニックにも取材に行った。患者は、戦争被害者。大部屋でダブルベッドだ。そんな中、目をつぶされた男性の写真があった。

彼は政府軍に捕まって拷問を受け、目の周りだけは殴らないでほしい、と言ったら目をつぶされ、鼻がつぶれるまで殴られたという。シリア国内だと、物的証拠はないがアサド政権の残虐な行為がうかがえる写真だった。

モースル奪還作戦の前の、ISが立てこもっているマフムールという町へクルド兵が進軍するという作戦に久保田氏は従軍し、撮影した動画を流した。外国人で同行を許されたジャーナリストは久保田氏だけだったという。クルド兵はアメリカが支援していて、米軍兵器が映っていた。久保田氏が乗っていた隣の車に直撃。にもかかわらず、兵士たちは落ち着いていて、こちら側では銃をうっていてあちら側では携帯をいじるなど、戦争が日常化している様子が見られた。米軍の空爆も映っていて、よく連携している様子だ。最後に、12歳ほどのISの少年兵の死体が映された。日本ではモザイクがかかってしまうため、見られない映像だ。

その後、米軍兵士が銃撃に参加している場面が流された。アメリカは、空爆支援はしているが、地上部隊は派遣していないことになっている。「前線まで行って見えたものがいくつかあった。」と久保田氏は述べた。正確な敵地への空爆は地上での偵察作戦がなければ不可能だが、米軍の反IS勢力への関与の深さが明らかになった。

この取材は、CNNもBBCも取材を断られたそうだ。「ものすごくシークレットな取材だったから。」と久保田氏は述べた。それは、外国人のジャーナリストが取材し速報することによって、戦況が変わってしまう危険があるためだ。

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