【大予測:仏政治】ポピュリズムの波到来?大統領選
Japan In-depth / 2016年12月26日 12時0分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
2016年も終わりに近づき、私なりに注目されるフランスの来年の課題3項目についてまとめてみました。
まず1つ目は、大統領選挙についてです。2017年でフランスに最も影響を与える出来事と言えば、なんと言っても4~5月に行われる大統領選挙ではないでしょうか。
欧州連合(EU)離脱を選んだイギリス国民投票に引き続き、アメリカ大統領選で共和党候補の移民排斥を唱えるドナルド・トランプ氏が勝利を収め、世界的なポピュリズム化が進み次々と専門家の政治予測を覆す展開となる中、来年のフランス大統領選においても、極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が選ばれる可能性も否定できないと一部では言われています。
ルペン氏が大統領に選出されることは、今までではあり得ないこととされてきましたが、テロが多発し、景気がなかなか回復しない中、ルペン氏の「移民排斥」と「エリート支配非難」という分かりやすい発言を支持する人が増加していることは否めません。
しかしながら、今月行われた世論調査の好感度のアンケート結果によると、前経済相エマニュエル・マクロン氏が49%、右派で元首相のフランソワ・フィロン氏が44%、前首相バルツ氏、ルペン氏が24%の順となっており、今のところは、マクロン氏とフィロン氏が有力そうではあります。
フィロン氏は移民の受け入れにも否定的で、ルペン氏支持層からの票が流れる可能性もある人物。年齢的にも貫禄的にも強いリーダーシップを取りそうな指導者として人気がありますが、到底受け入れられないといわれる歴史的解釈を持ち出して、歴史教師達から反発を受けたり、移民だけではなく、同性愛者に対しても厳しい対応を取ることに懸念を覚える人もいます。
マクロン氏は若くエネルギッシュで、それこそ今までの言動や行動からフランス人が好む「反骨精神」の塊のような存在であり、かなり人気を集めていることも事実。ただ若いこともあり実績があまり残せておらず、年配には不人気な傾向があります。しかし、経済相であった時には、労働市場と製品市場に必要な構造改革の実現に向け、オランド大統領から幅広い裁量を与えられ、現在進行中のいくつかの改革の中心的な人物であったことは間違いなく、期待度が高い人物でもあります。
誰が大統領になるかで、確実にその後のフランスの方向性が変わってくることは間違いないですが、現時点で本当に有利なのは誰かと断定するのは難しく、右派の選挙の時のようにほとんど注目を浴びていなかったフィロン氏が最後の最後で突然上昇したような、予想外の展開もありえるので、今後の動きから目が離せません。
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