安倍首相を右翼と呼ぶ米メディアの偏見
Japan In-depth / 2016年12月27日 18時0分
「ファクラー記者は自分たちが悪者とみなす日本側の相手は『超国粋主義者』という偏向の呼称では不十分とみなし、『右翼』というレッテル言葉を記事中のすべての段落で使っていた」
実際にファクラー記者のこの記事は「右翼」という用語を10回以上も連発していた。すべて朝日新聞の慰安婦問題誤報を批判する側への決めつけだった。
安倍首相への「右翼」のレッテルはアメリカ側ではメディアに留まらない。日本研究学者たちの間でもその傾向があるのだ。代表例としては日本の慰安婦問題を長年、糾弾してきたコネチカット大学のアレクシス・ダデン教授は安倍氏を「右翼」「軍国主義者」などと頻繁に呼んできた。
アメリカのテンプル大学のジェフ・キングストン教授もジャパン・タイムズ2014年11月8日付に発表した論文で安倍首相を「右翼過激派を強化し、民主的な制度や市民の自由を脅かしている」危険な人物と断じていた。
だがこうしたレッテル言葉の「右翼」については定義も説明もない。語感として排他、独裁、さらには無法などという政治志向を思わせるだけなのだ。非民主的なファシズムまでを連想させる侮蔑的な言葉だともいえる。
こんな言葉にどれほどの客観性や正確さがあるのか。なぜこんなレッテル言葉が出てくるのか。米欧メディアの日本についての報道や評論を長年、分析してきたアメリカ人学者アール・キンモス氏にこのほどインタビューして、見解を尋ねてみた。
キンモンス氏はアメリカのウィスコンシン大学で日本歴史研究の博士号を得て、イギリスのシェフィールド大学で教え、現在は日本の大正大学の教授を務める日本研究のベテラン学者である。この課題を「海外のマスコミにおける日本のイメージ」という研究報告にまとめてきた。
彼からはおもしろい反応が返ってきた。
「安倍晋三氏はアメリカの基準では右翼にはまったくあてはまらない。まず宗教色が皆無だからだ。アメリカの右翼は宗教色が強いことが特徴の一つなのだ、安倍氏の場合、国内政策もリベラル的な『大きな政府』志向だといえる。アメリカの政治基準だと安倍氏はどうみても共和党の穏健派、中道派だろう。だがニューヨーク・タイムズや左傾の米側日本研究者らは軽蔑をにじませた右翼という用語を故意に使う。不正確で偏向した描写だといわざるをえない」
安倍氏に対するアメリカのメディアや学者からの歴史の「否定」や「修正」の糾弾にもキンモンス教授は反論した。
「安倍氏の『歴史否定』非難の顕著な虚構例はニューヨーク・タイムズの2007年3月のノリミツ・オオニシ記者による『安倍氏が慰安婦否定』の報道だった。この記事が始まりだったかもしれない。だが安倍氏は単に日本軍の強制連行を否定しただけなのに、慰安婦の存在自体、あるいは軍関与自体を否定したとしてオオニシ記者は報道したのだ」
この記事に関連するニュース
-
ルビオ次期国務長官を注視しよう(下)安倍首相の靖国参拝への支持
Japan In-depth / 2024年11月24日 19時0分
-
結局「ポピュリズム」とは何なのか...世界中が「極端な政党」に熱狂する理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 17時20分
-
トランプ前大統領の圧勝とその教示
Japan In-depth / 2024年11月7日 23時21分
-
民主党びいきの二大新聞はなぜハリス不支持となったのか
Japan In-depth / 2024年11月5日 12時4分
-
「トランプを支持する保守派は人種差別的だ」という批判は正しいのか? 彼らが大谷翔平のお辞儀を見て「日本の美」を礼賛するワケ
集英社オンライン / 2024年11月5日 11時0分
ランキング
-
1米海軍哨戒機が台湾海峡飛行、中国軍は「大げさな宣伝」と反発
ロイター / 2024年11月26日 18時33分
-
2政府が政労使会議開催、石破首相「今年の勢いで大幅な賃上げを」
ロイター / 2024年11月26日 13時46分
-
3パキスタン、元首相釈放求めデモ激化=首都に軍配備、衝突で死者も
時事通信 / 2024年11月26日 20時41分
-
4【速報】韓国外務省が「日本が見せた態度」への遺憾を日本大使館に伝える 「佐渡島の金山」の追悼式に不参加
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月26日 15時4分
-
5フィリピン正副大統領、対立激化が「殺し屋依頼」に発展 対米中外交に影響も
産経ニュース / 2024年11月26日 19時25分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください