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【大予測:東南アジア】覇権狙う中国、鍵はインドネシア

Japan In-depth / 2016年12月30日 17時40分

 2016年10月13日にプミポン国王が死去したASEANの大国タイは1年間の服喪期間にあり、経済活動の停滞は不可避の状況にある。民主化を目指すとしていたプラユット軍政も、服喪期間中を逆手にとって不敬罪やネット犯罪への取り締まり強化で「反軍政勢力」の摘発に乗り出し、恩赦で有力財閥を釈放したり、身内を登用したりと権力基盤を強めている。新国王の影響力が不確実なために軍政の各方面での既成事実化を着々と進める方法は民主化勢力の不満を増幅しており、「内部に滞留しつつある不信と不満のガスがいつか噴出しかねない」(タイ紙記者)という予断を許さない2017年を迎えようとしている。

不正蓄財問題や自身への権力集中などでマハティール元首相ら反政府勢力による政権打倒運動が静かにしかし確実に拡大しつつあり、もはやレイムダック化との指摘もあるナジブ首相のマレーシア。

支持基盤の脆弱化からナジブ首相は2018年に予定される総選挙の前倒しを断念、政権維持に汲々としている。その窮状に付け込んだのが中国で、2016年11月3日に北京で習近平国家主席と首脳会談に臨んだナジブ首相は「南シナ海問題の話し合いでの解決」で合意。大型経済援助や高速哨戒艇の導入などでも合意するなど急速な中国接近を内外に印象付けた。ASEANではマレーシアはいまやカンボジア、ラオスと並ぶ親中国派の仲間入りをしたとの見方が有力だ。

 

■ASEANのカギを握るインドネシア

世界第4位の人口、世界最大のイスラム教徒人口を擁するASEANの名実ともに大国であるインドネシアはやはり2017年も最も注目すべき「台風の目」であるだろう。

2016年の後半は、首都ジャカルタ中心部の大統領官邸へのテロ計画が発覚したほか、反政府知識人などによるクーデター未遂事件も起き、中東のテロ組織「イスラム国(IS)」と関連があるグループによる爆弾テロ、自爆テロを相次いで摘発している。テロ問題はフィリピン南部と並んでインドネシアのまさに「今そこにある危機」で、2017年もジョコ・ウィドド政権は「テロとの戦い」が喫緊の課題となる。

加えて首都の治安維持に大きな影響を与えかねない裁判の判決が年明けに予定されている。それは2月15日に投票されるジャカルタ特別州知事選挙で、最有力候補の現職、バスキ・チャハヤ・プルナマ(通称アホック)知事の発言を曲解したイスラム急進団体が「イスラム教を冒涜した」と糾弾、大規模デモ、治安部隊との衝突という社会不安を招いたのだ。

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