英国にもあった共産党 しぶとい欧州の左翼 その4
Japan In-depth / 2017年2月5日 11時0分
たしかに『モーニング・スター』の発行部数は1万部。6000人以上の定期購読者がいて、英国のリベラル派陣営にも影響力を持っている。これは決して、共産党側の宣伝ではなく、ロンドン大学で教鞭を執る学者からも同じ話を聞かされているので、言わば裏が取れている話だ。
ーもともと親ソ路線が人気を得ず、共産党から立候補したのでは当選できないからと、労働党に加入して立候補した人たちが労働党を左傾化させた、とよく聞きますが。
「そうした例が皆無だとは言いませんが、我々が労働党に対して加入戦術をとったという事実はありません。また、親ソ路線と言われますが、これは、あたかも英国共産党がソ連のリモコンで動いていたかのような、資本主義側の悪意ある宣伝という要素が大きい。実際に1968年のチェコ動乱(民主化運動をソ連軍が弾圧した)に際して、英国共産党はソ連政府に厳重抗議しています」
これまで幾人もの政治家にインタビューしてきた私にとって、こうしたロジックは聞き慣れたものだ。共産党員に限らず、政治家もしくは政治党派の人たちは、自分たちの論理は首尾一貫しており、組織的正当性は揺るぎなきものだと、必ず言うのである。
ーこの国に共産党政権が誕生し、自分が首相になれると、本気で考えていますか?
「答えはNOです。資本主義は非常にしぶとく、今次の恐慌(リーマンショック)も乗り切るでしょうから。ですが、不況と格差に対する労働者階級の怒りは蓄積される一方ですので、共産党を含めた左翼連合政権の誕生は、決して夢物語ではないと考えています」
現実には7年後、英国労働者階級の怒りに矛先は東欧圏からの移民労働者に向けられ、EUからの離脱を国民投票で決めてしまうこととなった。それはそれとして、資本主義はしぶとい、というのがグリフィス党首の評価であったが、共産党も結構しぶといな、というのが私の印象であった。
今回は紙数が尽きたが、この党についてはいずれ稿を改めて紹介させていただこうと思う。
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