「大統領令差止めで米三権分立は機能」のウソ
Japan In-depth / 2017年2月7日 7時0分
特定国からの非白人移民を事実上制限する大統領令で想起されるのが、今からちょうど100年前の1917年に成立した米移民法の「アジア移民禁止地帯条項」だ。この流れは、日本人を含むアジア人を「帰化不能者」とした1922年の米連邦最高裁における日本人移民の小澤孝雄の敗訴や、日米戦争の遠因のひとつとなった差別的な1924年の移民法へとつながってゆく。
これらの歴史的イベントでは、米立法・司法・行政は一体となって非白人の排除に動いた。小澤孝雄が1917年に非白人の帰化権をめぐり米最高裁に上訴した際には、第一次世界大戦や戦後処理に絡んで米国が日本の協力を必要としていたため、米司法省が米最高裁に日本を刺激する差別的判決の言い渡しを延期するよう申し入れ、受け容れられている。三権は分立などしていなかった。
一世紀を経た今、米司法は人種差別的な移民政策を、いかに「公正」、「三権分立」の体裁を保ちながら温存するかに心を砕いている。だが、その外面がフィクションであることは、警察官が「脅威を感じた」との根拠薄弱な理由でだけで、丸腰の黒人をインスタント処刑し、警察とズブズブの検察が無法警官の訴追を拒否し、それに米連邦最高裁がお墨付きを与えている不公正な癒着の現状を見れば明らかだ。
自国民たる黒人の生命や権利さえ蹂躙し続ける米司法が、キリスト教世界と歴史的対立関係にある国々の非白人の権利に関心を持つ理由はない。
アイゼンハワー元大統領が1953年に連邦最高裁長官に任命したアール・ウォーレン判事が、アイゼンハワーの意に沿わなかったのは有名な話だ。しかし、司法は方法論において大統領や議会と対立することはあっても、人種問題という建国以来の核心問題では、一貫した癒着を示すのだ。
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