小池都政3つの意味 東京都長期ビジョンを読み解く!その41
Japan In-depth / 2017年2月16日 7時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
2月5日に千代田区長選挙が行われ現職の石川雅己さんが再選を果たした。この選挙、高齢かつ多選の現職、外資系金融会社に勤務していた有名政治家の甥、つくば市長を弟に持つ専門コーチの3候補が立候補したが、当初の予想を超える形で、小池都知事の支援を受けた現職が圧勝した。前回書いたように、これで益々小池都知事や「都政ファーストの会」も影響力を増していくことだろう。こちらは大方、見通しが立つようになってきた。他方、都議会自民党、そして、地下水から環境基準を上回る有害物質が検出された豊洲新市場問題では混乱は収まりそうもない。
最近の動きを見ていて、私はそこに小池都政の3つの意味を感じた。小池さんじゃなかったらどうなっていただろうというのが正直な気持ちだ(ちなみに、私は小池都知事に投票したが、支持はしていないことを断わっておこう)。
⒈ 点基底にある都民の期待と欲求への対応
我々東京都民は、都政について関心をどれだけ持ったことがあったろうか。申し訳ないので告白すると、私も仕事としてかかわる以前は全く関心がなかった。というより、区市町村、国との違いも分からず理解できなかった、意識できなかったというのが正確な表現である。
私以外もほとんどの都民は同様だったのではないか。
早稲田大学招聘研究員で地方自治に知見を持つ渡瀬裕哉氏は「底流には大阪や名古屋などもそうだが、都市住民は国政とは違う政治を求めているかもしれない」「中長期的には都市が中央政府のいうことを聞きたくないという自己決定権を求める動きがあり、東京の改革もその流れでは」と語る。
これまで首都であり、経済の中心の多大な恩恵を受けていた都民も保育園が確保できないなどの問題など、我慢の限界に達する方も多かったのかもしれない。都政を知り、考えることの必要性が意識として高まってきたのだろうか。まさに、その期待に応えられる可能性を示し続けているのが小池都政である。
2. 都民の既得権益への不信・疑いの目とその検証の必要性
第1点が底流にある中、ある事象によって沸点を超えて出てきたのが第2点だ。
国立競技場建設、東京五輪エンブレム、築地市場などのニュースで都民が感じたのは一部の業界、一部の人たちだけが利害を得ているように見える構造だ。それがいいか悪いかは別として(都民やメディアがチェックをしないのだから仕方ないという意見もある)、そうした構造「のようなもの」が垣間見れたことは確かだろう。そもそも200億円の「都議会復活枠」なる奇妙な予算が存在する自治体など聞いたことがなく、正直のところ、私もびっくりした。
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