金正男暗殺 謎の貿易商浮上
Japan In-depth / 2017年2月17日 23時13分
こうして見ると、この時期に暗殺が実行されたのは、金正男氏が亡命政権樹立や亡命に向かっていたからではなく、北朝鮮が一貫して進めていた暗殺計画の諸条件がこの時点でそろったためと見るのが妥当と思われる。暗殺の諸条件がマレーシアという地域で整い、そこで動線が確実に補足でき、正男氏が気を許し最も接近しやすい空港という場所が確定できたからこそ暗殺が実行されたのだろう。
ただ衆目が集まる空港での犯行については、金正恩が金正男暗殺を急いでいたためとの見方もあり、金正恩に反対すればこのように暗殺するぞという“見せしめ的意味”だとの見方もある。
■なぜマレーシアなのか?
しかしここで疑問が残るのは、なぜ彼がボディガードも付けず一人でマレーシアに向かったのかということである。一貫して彼を保護していた中国が今回警護していた気配が全く感じられないことにも疑問が残る。
誰かがビジネスを持ちかけて一人でクアラルンプールに来るように仕向けたのか?もしくは金正恩氏に張り付いていた誰かが、たまたま一人で行動することを事前にキャッチして暗殺団に通報したのか?この点について朝鮮日報韓国版は、2月17日付けで次のような興味深い情報を報道した。
【北の外貨稼ぎ総責任者ハン・フンイル 金正男暗殺のキーマン】
わが国(韓国)の情報当局が 「ハン・フンイル」という名前のマレーシア駐在北朝鮮貿易商が金正男暗殺事件と密接な連関があるとして関連内容を追跡中であることが16日に明らかになった。
金正男氏は、ハン・フンイルが管理してきた秘密資金を整理するためにマレーシアへ行き、その過程でハン氏を通じて金正男氏の動線情報が北朝鮮側に漏れた可能性があるというのだ。
マレーシア内の北朝鮮事情に詳しい消息筋は 「ハン・フンイルは年が70代中盤で30年以上マレーシアに居住しながら北朝鮮の東南アジア地域外貨稼ぎ事業を統括していた」と語り、 「マレーシアにビジネスのため出入りしていた金正男とはその(ビジネス)拠点を管理し資金を支援しながらずいぶんと前から関係をもっていた」と伝えた。しかし金正恩執権以後、金正男との関係が問題になり、そのために昨年北朝鮮に呼ばれて北朝鮮入りし調査を受けたという。
北朝鮮消息筋は 「金正恩が後継者として登場した2011年以降、中国で金正男氏に便宜を提供した駐在員たちを処刑するなど 「金正男ラインは皆除去されている」とし「しかしハン・フンイルは金日成・金正日誕生日毎に数万ドルずつ忠誠資金を納めて来たし、マレーシア高位層とも親交を深めていた古くからの大物だったために調査だけを受けてマレーシアに復帰した」と語った。ハン・フンイルの妻が金日成の副官を勤めたパルチザン出身のキム・ミョンジュンの娘である点も関係したという。
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