デンマークのイジメ対策 子供同士の話合い
Japan In-depth / 2017年2月19日 19時0分
安岡美佳(コペンハーゲンIT大学 研究員)
娘(8歳)の通う小学校のギュリュ先生より、2年生のクラス女子の両親のみに向けた連絡が来た。「この金曜日から、4月初旬までの約1.5ヶ月の間、クラスの女子だけを集め、授業後の学童の時間に特別なゲームをやります」そんな言葉で始まったメールを見た瞬間、何のシークレットミッションなのだろう、と体に緊張が走った。
その緊張は、読み続けていくうちに溶けていったが、また別の緊張を感じることになる。メールは、次のように続いた。「この新しいゲームは、皆で協力するゲームです。一人がルールを全部決めるのではありません。」ゲームの間には、「お話」もするとのことで、その話の内容は、「良い友達とは。お互いに尊重し合うにはどのような態度を示せばいいか。議論になるのはどのような時か。どのようなことを努力し、どのようなことに取り組む必要があるか。」などが例として挙げられていた。
いつの時代にも、今でも30年前の私が娘ぐらいの年代だった時も、女子グループにつきまとう課題がある。多かれ少なかれ皆、意図的にせよ無意識のうちでも、被害者であったり加害者になったりを経験するのだろう。娘のクラスでは、最近、女子グループ間で喧嘩や(おそらく)無意識の仲間はずれが目立っていたようで、今回の「特別ゲーム」につながったようだ。
今までにも、娘の幼稚園や学校には「友達を誕生会に呼ぶ時には、女子全員もしくは男子全員、あるいはクラス全員を呼ぶ」というルールや、「先生が指定する友達グループ」が学年の初めに発表されて、そのグループで、一緒に遊ぶことが奨励されたりしていた。デンマークの学校の一クラスは20人前後なので、女子だけ、男子だけとしたら約半数なのだけれども、それでも10人近くを自宅に呼ぶのはかなりの負担になる。そこまでしなくてはならないのであれば、お誕生会を取りやめようかということにもなりがちだ。このような対策は多くの学校や施設でとっているのだが、このようなルールをとり決める背後には、根深いイジメの問題がある。
幸せの国と言われるデンマークの学校にもイジメは存在する。女子グループだけではなく、男女間や男子同士のイジメもメディアを騒がせている。近年では、サイバーイジメなどの言葉も出ている。イジメの定義は難しいが、金銭の恐喝や身体へ肉体的の攻撃、言葉による攻撃などだけでなく、デンマークでは、宗教、振る舞い、服装や考え方の違いを攻撃すること、 人がやりたくないことをやらせること、緊張している友人を笑うこと(授業などで指されて緊張してしまう友人など)などもイジメである、との共通認識があり、このようなイジメをなくすためのキャンペーンが頻繁に展開されている。
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