読後感:「木を見る西洋人、森を見る東洋人」
Japan In-depth / 2017年2月20日 7時0分
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
【木を見る西洋人、森を見る東洋人】
ずいぶん昔読みました。東洋人と西洋人の思考の違いについて書いている本です。
著者は西洋人なので、前書きでも書いていますが、全体を通して東洋人を擁護してくれています。西洋人の考え方から見ると東洋人は少し能力が劣るように見えるかもしれないけれど、それはただの違いでしかないんだよ、それから、西洋人、東洋人てずいぶんざっくり分けてしまっているけど、もちろんアジアだった色々違いがあるし西洋もそうで、だけどざっくりでも分けてしまわないと話せないから許してね、という前置きがあって本が始まります。
例えば、実験で水槽を見せ、何が見えたかを西洋人と東洋人に尋ねます。西洋人は真ん中を泳いでいる大きな魚の特徴を言うそうです。一方で東洋人は水槽の特徴や、周辺を泳いでいる小さな魚、または海藻について話をするそうです。東洋人はいつも全体を見てバランスを考え、西洋人はある一点に集中して意識を向けているからだそうです。
古代ギリシャ人は対象物をいかに理解するかの情熱を注ぎ、中国人は物事は全て関係しているので切りはなすことができないので全体を感じ取ろうとしました。対象物を単独で観察し理解する世界と、それをみている自分や関係性を意識する世界の違いとも言えるかもしれません。昔膝が痛かった時にアメリカのお医者さんにいくと、すぐ手術をしようとなりましたが、日本に帰ってきてお医者さんやセラピストに見せると、もしかして腰の歪みが影響しているんじゃないかと言われました。アジア人にとっては痛みは全体の調和の歪みの結果だと捉えることが多いです。医食同源ですね。
変化についても同等に、右肩上がりのグラフをみた西洋人は、このまま伸びていくと答え、アジア人は鈍化するまたは反転すると答えます。人間万事塞翁が馬、物事は常に反転し続けると考えるアジア人の特徴が出ています。
この本を読んで気づきがあったのは、
・抽象的な考え方に自信を持ってもいい
・優劣ではなく考え方の違いとして捉える
ということです。全体のバランスを見る東洋人が得意なこともあって、自分なりのスタイルを見つけて戦うのが大事なんですね。ちなみにスポーツの世界では、日本人の鍼やマッサージトレーナーがものすごい人気です。患部ではないところにアプローチをしてなぜか痛みをとるので魔法みたいだと言っていた選手もいました。全体を眺めるアジア人ならではの活躍方法が他にもたくさんあるような気がします。
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