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王家の家督争い 金正男氏暗殺 暗殺の世界史入門その1

Japan In-depth / 2017年2月26日 7時0分

とどのつまり、身柄を拘束された「多国籍軍」は、最初から当局の目を引きつけるためのオトリだった、と考えて間違いないだろう。拘束された女が、「100ドルもらってイタズラ動画の撮影を持ちかけられただけで、殺意など無かった」と供述していることによっても、それは裏付けられよう。

ここまでのところで、私にとって「驚くべき情報」はなにもなかったが、第一報に接した時から感じていた疑念は、未だぬぐわれていない。

(中国が彼を保護している、という話ではなかったのか?)

というのが私の疑念で、いま少し具体的に述べると、正恩体制になってから、ますますコントロールが難しくなった北朝鮮に対し、中国側が、「いざとなれば、正男を担ぐ勢力を密かに支援することもできる」

などと(もちろん露骨にそこまでは言うまいが)圧力をかける、特異な外交カードとして手元に置いている、という話を幾度も聞かされていたのである。

この話が本当なら、ボディガードもつけていなかった、というのは不自然きわまりない。現時点で考えられる可能性としては、

① 前述の話自体、まことしやかに語られた虚偽の情報であった。

② 中国は、北朝鮮の体制がひとまず安定したと考え、正男氏の出番などないと見た。

③ 逆に、今のような独裁体制など遠からず崩壊する、と見切った。

……といったところだが、真相はそれこそ「闇から闇へ葬られる」であろう。

それにしても、「家督争いで暗殺」などとは、本当に21世紀の話か、と言いたくなる。それこそ、朝鮮王朝時代を舞台とした韓流ドラマの世界で、北朝鮮の支配体制を「金王朝」とは言い得て妙、とも思うが、かの国の人々にとっても、我々日本人にとっても、これはまったく笑い事ではない。

今回から、歴史に大きな影響を及ぼした暗殺事件の数々を紹介させていただく。

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