「不寛容の本質」を考えよう
Japan In-depth / 2017年3月8日 11時0分
ここで、一般会計の税収のグラフを参照。一般会計の歳入というのは消費税・所得税・法人税の三本柱で形成される。ここ数年の税収は、「バブル期とほぼ同じ」である。西田氏によるとこれはつまり、「我々の個人や法人というのはそれほど儲かっている感じはしないけれども国というのはたくさん儲けている。」ということで、同時に国が「誰かから召し上げている。」ともいえる。「そもそも今こういう状態から消費増税するかどうかとか、そういうある種の決断のポイントにきているということを知ることが大事ではないか。」と述べた。
安倍編集長は、歳入も増えているが歳出も増えていて、両者の「ギャップが一向に埋まらないから、(税を)増やさざるを得ない。」という点も指摘。増えている歳出というのは、基本は社会保障費だ。このことから西田氏は、「現役世代にとってこの国は生きづらいと言える。」とした。
しかし、やみくもに歳出を絞っても解決しない。西田氏は、「年長世代の支出を増やすことは政治的にとても難しい」ことから、若者や生活保護受給者など「今苦しい人たちにそのしわ寄せがいくのではないかという気がする。」と懸念を示し、経済成長による解決を求めていた。安倍編集長は、「所得制限とかきちんともうけて、高齢だということでやみくもに社会保障費をばらまくのではない。」と社会保障制度の制度的な問題解決の重要性を示した。
こうした中、視聴者から「若者かわいそう論でいいのか」というコメントが寄せられた。それに対し西田氏は、「そうでもない。」と反論。著書の中の一節でもある、オピニオンリーダーの変遷を例に出した。西田氏は、以前は学者や物書きたちが「社会の言説をリードするという時代だったが今はそうじゃない。」と指摘。起業家やNPO、ベンチャー企業の経営者等がオピニオンリーダーなる存在になってきている、と西田氏は考える。筆者も同意し、その理由として以前のような、物を書く、ということによる発信だけではなく、「実践したりSNSで発信したりとアプローチが多様になってきたのでは。」と述べた。
西田氏は、今のオピニオンリーダーは、昭和は終わった、古い時代だからさっさと捨てろとあおる、それを今の学生をはじめとする若者は真に受ける、と考える。「具体的になぜどこがどう古いのか、今の状況がどうだからそのころの時代と決別すべきなのか、そういったエビデンスや問題点を理解せず、なんとなくあおられるがままに右に左に、あるいは不安になっているという部分がある。」と述べた。
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