日産ゴーンは去ったのか? その2
Japan In-depth / 2017年3月9日 11時0分
勿論、三菱自の買収効果はまだ全く反映されていない。今後に乞うご期待ではあるが、1999年以来続けてきたルノーとの相乗効果は、17年経った現在も、少なくともトヨタやホンダとの比較に於いて、その優位性を発揮出来ていないように見える。倒産直前の状況からここまで業績を改善させてきたのだから、ゴーン会長の今までの手腕に賛辞を送ることに吝かではないが、言われているほどのアライアンスの相乗効果、スケールメリットがあったかと聞かれれば、答えは明らかに“NO”であろう。
話は長くなったが、ゴーン会長の今後の経営課題、第1のPriorityは、世界販売台数でトヨタと並ぶというのだから、経営指標のベンチマークもトヨタ並み、少なくとも視野に入る水準まで改善されなければならない。それ無しに、ルノーと日産と三菱自の販売台数をただ単純に足して、世界一になったとしても、その数値には何の意味も無いということは、ゴーン会長が一番ご存知であろう。
●アライアンスの敵は次期大統領?
社長から離れたゴーン会長、第2の達成必須項目だが、ある意味、第1の仕事よりも手ごわいかもしれない。それはルノー・日産・三菱自アライアンスの最終形を作り上げることである。そしてその最大の難敵が、フランス政府だということである。2014年から15年にかけて、フランス政府が日産の経営により関与しようと画策したことは記憶に新しい。株式を2年以上保有する株主には、2倍の議決権を与えるという“フロランジュ法”なるものを駆使、フランス政府は一時、ルノー株を15%から20%近い水準まで買い増した。
ルノーは日産の43.4%の株式を保有するが、そのルノーの筆頭株主はフランス政府である。今回、日産の新社長となった西川氏がフランス政府との交渉役となり、日産がルノー株を買いますなどして、フランス政府による経営介入を阻止した経緯がある。
そのフランス、まもなく大統領選挙を迎える。下馬評は極右政党・国民戦線のルペン党首と、独立候補のマクロン元経済産業大臣である。どちらになってもゴーン会長にとっては難しい相手である。マクロン元大臣は前述の“フロランジュ法”を巡って攻防戦をした政府側の中心人物で、彼が大統領になれば、再度、ルノー・日産の経営に関与しようとする可能性がある。
これはトランプ米国大統領の政策と似ており、フランス国内の雇用を守るべく、ルノーがフランス国外に工場を移転することを阻止し、日産ブランド車をルノーの工場で生産させるなどしてルノーの工場稼働率を上げ、より雇用を創出するという政策である。
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