「圧倒的に勝つ」アイスホッケー女子日本代表発進その2
Japan In-depth / 2017年3月9日 15時0分
神津伸子(ジャーナリスト・元産経新聞記者)
■得点差3点以上、被シュート15本以内、完封勝利
「圧倒的に勝つ」ということは、アイスホッケー女子日本代表・スマイルジャパンにおいて漠然としたものではない。昨夏からチームを率いている監督・山中武司の定義は、こうだ。
「3点以上の差をつけて、相手に15本以上のシュートを打たせないようにしっかり守り、完封して勝つ」
実に明快だ。
先月9日から苫小牧白鳥王子アリーナでスタートした第23回オリンピック冬季競技大会女子アイスホッケー世界最終予選で、日本代表スマイルジャパンは初戦オーストリア戦第1ピリオド(以下P)でいきなり緊張感マックス。自分たちのプレーが出来ず、インターミッションにメンタルコーチ山家正尚が使用したエナジーバーチャイムと、その後の中村亜実のかけ声で、勢い良く更衣室を飛び出した。
第2P 2:53 敵味方が交錯するゴール前のこぼれ球をDF(ディフェエンス)小池詩織がねじ込み、貴重な追加点で2−1とリード。
「必ず、ゴール前にパックがこぼれ出ると思ってかまえていた」(小池)
この後第2P中盤から、じわじわとチームの硬さがほぐれだし、持ち前の運動量、スピードと、自分たちのホッケーを取り戻していった。この後、久保英恵、小野粧子、久保、中村と加点。6−1で勝利。オーストリアのシュート数は23本。
「決めるべき人間が決め、PPで2点取れたのは良かったが、自分たちの形がまだ出来ていない」(山中)
決めるべき人間とは、絶対的エース“氷上のスナイパー”久保。
「あと2試合も、しっかり得点に絡みたい」(久保)と、実に頼もしい。所属するSEIBUプリンセスラビッツの広報担当の磯部彰も、ここで何としても点が欲しいと言う場面では、いつもこう唱える。
「神さま、仏さま、久保さま」
PPとは、パワープレーの略で、相手メンバーがペネルティで退場して1名以上少なく、自軍がかなり有利な状態で戦う事を指す。
その際は得点する確率が高いので、スペシャルセットを組むことが多い。スマイルジャパンも久保、中村、床波留可プラスDFのポジションに、得点量のあるFW(フォワード)浮田留衣を置き、DF床亜矢可との強力PPセットを組む。躍動感が増し、何度も得点を重ねることになる。
そして、この試合の収穫はもう1つ。ベテラン最年長・小野(35)のいきなりのゴールだった。
■行けー!二本柳!!
「いけー!二本柳、決めて来い!!」
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