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PKO5原則に限界 南スーダン自衛隊撤収

Japan In-depth / 2017年4月2日 17時17分

南スーダンからの撤収について大野氏は、「自衛隊の安全が確保できるかという状況に疑問がつかざるを得ない(状況だった)。」と述べ、ゴラン高原からの撤収理由と同様の理由があったのでは、との考えを示した。特に去年の7月以降は自衛隊の作業はこれまでとはずいぶん違ってきているとし、リスクが高まってきたことと、自分たちの能力にかなわない任務になってきた、という2つが撤収の理由ではないかと分析した。

細川氏は、「自衛隊の派遣先として安全の確保に万全の保証がないことが判断に大きく影響したのか。」と改めて質問。大野氏は、「今の基地の駐屯地の中にいる分にはリスクは相対的に低いかもしれないが、万全な作業をしようと思うとリスクがあまりにも大きい。」と答えた。

南スーダンからの撤収は、自衛隊のPKO活動がゼロになることでもある。細川氏は、「自衛隊が高い能力でインフラ整備を行うことは世界から期待される日本ができる数少ない貢献活動のひとつである。」との見方を示した。これについて大野氏は、「いわゆる世界に対するプレゼンスという意味では当然マイナスになる。」と述べた。しかし、「その一方で今自衛隊のPKOとして出せる場所は本当に数少ない。」とも指摘した。

大野氏によると、PKOは国連憲章で定まっておらず、状況に応じて変わってきているという。「例えば今の国連のPKOに関するガイドラインについていえば、もう日本の5原則が定めている中立原則というのはない。」と述べ、中立よりも「ミッションへの普遍性」を重視する傾向が高まっているとした。「もしもある勢力寄りであったとしても、目の前で殺される人がいたら助けなければいけない。これは中立ではないが、それを重んじろということ(=ガイドライン)になっている。」と説明した。前述のPKO5原則が維持できない状況の中で、「安定的で、かつPKO5原則が維持できそうな国はたぶんキプロスくらいしかない。」と、日本のPKOの限界を指摘した。

その一方で大野氏は、「日本は『どの国にPKOを出すか』、という発想だが、多くの国は、『(その地域を)安定させると自国にとって利益になるからそこにPKOを出そう』と、イニシアチブをもってやっている。」と他国と日本のPKOに対する考え方の違いを説明し、自国の利益に鑑みる発想をもつことの必要性も述べた。

細川氏も、「国益にかなう貢献をしなければいけないのは国際社会では当たり前だが、安全保障の分野になると日本は不得手と感じる。」と述べた。

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