米中首脳会談、「北朝鮮」で進展は?
Japan In-depth / 2017年4月4日 13時16分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#14(2017年4月3日–9日)
【まとめ】
・米中首脳会談、焦点は「北朝鮮問題」。
・今は「情報戦」の段階、米単独行動の可能性は低い。
・中国が北朝鮮に圧力かけるかは不透明。
今週のハイライトは6-7日の米中首脳会談だと書こうとしたら、ロシアの地下鉄で悲惨なテロ事件が起きたという臨時ニュースが飛び込んできた。それにもかかわらず、不思議にも日本のメディアの関心は、今回の米中首脳会談で「北朝鮮問題」がどの程度話し合われるか、にほぼ集中しているようだ。
トランプ氏はFT紙のインタビューで、「中国が北朝鮮に圧力を掛けたら米軍の朝鮮半島撤退を保証する大取引を考えるか」と問われ、"Well, if China is not going to solve North Korea, we will. That is all I am telling you."「中国が北朝鮮問題を解決しないなら、我々がやる。言えるのはそれだけだ」と述べたそうだ。
日本の一部夕刊タブロイド紙はトランプ氏が対北朝鮮武力攻撃を検討中などと大々的に報じたが、筆者の見立てはちょっと違う。トランプ氏の発言通り、今回米国は「中国がやらなければ、米国単独でもやる」覚悟を示したということ。現時点ではそれ以上でも、それ以下でもない。
要するに、今は「情報戦」の段階で、直ちに攻撃が始まる訳ではない。メディアは盛んに「斬首作戦、特殊部隊による暗殺」というが、そもそも、そのような攻撃を国際法上如何に正当化するのか。確かに、トランプ氏は大統領就任直後、60日以内に対北朝鮮措置の検討を命ずる大統領令に署名した。
北朝鮮北西部の弾道ミサイル発射基地などへのミサイルや有人・無人の航空機などによる限定的な爆撃が検討されているとも報じられた。だが、予防攻撃だろうが、何だろうが、そもそも成功するのか。更には、そうした行為が1953年の朝鮮戦争休戦協定違反とはならないのか。この点も忘れてはならない。
米国防総省の官僚組織は、各種の具体的攻撃方法だけでなく、それぞれの法的側面まで同時にしっかり検討している。そんなに簡単に攻撃が可能だとは到底思えない。トランプ政権は米側の軍事攻撃が必ずしも全面戦争にはつながらないという認識を強め始めたとも報じられた。しかし、根拠は一体何なのか。
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