アメリカのシリア空爆は合法か
Japan In-depth / 2017年4月8日 18時0分
■安保理支持無しの単独軍事行動は国際法上違法
国際条約に違反した国が出た場合は、最終的には安保理による強制行動によって対処することになるが、ロシアは拒否権を持っていることから、安保理を通じてはシリアに対して制裁を課すことは出来なくなる。安保理の支持を得ないで単独の軍事行動に出た場合は、個別的、集団的自衛権の行使以外では国際法上違法ということになる。
しかし、これまでに、安保理を通じないで人道的介入が正当化されたことがある。それは、1999年に起きたコソボ紛争での旧ユーゴスラビア(現セルビア)によるアルバニア系コソボ人の弾圧に対する北大西洋条約機構(NATO)の対ユーゴ空爆だった。この時は、大規模な人権侵害が起きた時には、しかも、安保理が有効な手段を即時に取れない時には、人道的な観点から軍事介入できる、というものだった。しかし、これは例外的な措置として見られ、既成事実化したものだった。
■最終的には国際政治力学が働く
今回のアメリカの空爆は、アメリカも、禁止されている化学兵器の使用に対する「熟慮した、相応の対抗措置」だとして、その正当性を主張している。トランプ大統領の対立候補だったヒラリー・クリントンや共和党の有力議員で日頃トランプ大統領に批判的なジョン・マケイン上院議員も、今回のトランプ大統領の行動には支持を表明している。
国際法は、主権国家がそれを順守するかどうかで、その有効性が試される。また、その解釈も国際政治によって影響を受ける。世界政府が存在しない主権国家社会で、化学兵器禁止という国際的規律をどのように順守させるかは、最終的には国際政治力学に左右されることになる。
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