長島昭久議員民進党離党の衝撃
Japan In-depth / 2017年4月11日 8時0分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
【まとめ】
・民進党長島議員、共産党との選挙共闘に反対し離党届出す。
・大義は「真の保守」の確立。
・潮目が変わるタイミングは7月都議選。
■共産党との選挙共闘「受け入れがたい」
民進党の長島昭久衆議院議員の離党会見は、10日午前、衆議院議員会館にて行われた。野田幹事長に離党届を提出後に臨んだ記者会見で長島議員は、開口一番「本日、一人の政治家として独立を宣言します。」と力強く述べた。表情はやや固く、緊張した面持ちだった。
民進党を離れる最大の理由として長島氏は、「保守政治家として譲れない一線を示す。」この一点である、とした。具体的には、「共産党との選挙共闘という党方針」を挙げ、自分にとって「受け入れがたいもの」であると述べた。
長島氏は、野田佳彦内閣で首相補佐官や防衛副大臣を務め、安全保障政策に精通した保守派論客として知られる。外交安保政策について長島氏は、「私の目指す『リアリズム』と共産党の路線は残念ながら重なることはあり得ない。」と述べた。
■「真の保守」確立が離党の大義
また長島氏は、今回の離党の大義は「真の保守をこの国に確立したい」という一点にある、と述べた。その上で、「真の保守」は、日本の歴史と伝統を貫く「寛容の精神」を体現し、国際社会でも通用するような歴史観や人権感覚を持たねばならない、とした。
会見を聞く限り、長島氏には、「保守とリベラルの分断・亀裂」は「抜き差しならぬところまでいくのではないか」との危機感があるようだ。その裏にはアメリカの分断状況もある。
最後に長島氏は、「『中庸』を旨とした『真の保守』政治の確立という大義の実現を目指して行動を起こす。」と宣言した。「中庸」とは、「過剰に対する自制と不正に対する毅然とした姿勢によって、一方に偏ることなく常に調和を重んずる思想」だとしたが、要は政争に明け暮れる与党と野党双方にくぎを刺したわけだ。まさしく多くの国民が今の国会の状況を見て感じていることであろう。
■自民党・小池新党との連携はない
アメリカのトランプ政権がシリア攻撃という単独軍事行動を起こした今、北朝鮮の金正恩委員長がどのような挙に出るか、我が国にとって最大の関心事であるはずだ。「森友学園問題」なのか「籠池氏問題」なのかよくわからない状況で政権を追い込もうと血道を上げている民進党ら野党に国家の安全保障を全権委任したいと思う国民はどれほどいようか。
会見で自民党や小池都知事率いる「都民ファーストの会」との連携を問われ、きっぱりと「それはない。」と断言した長島氏。しかし、今の政治状況を良しとしない一人の政治家がこうして党を割ったことで、様々な政治力学が働くだろう。更なる民進党からの離党者が長島氏を追ってくるかもしれないし、他の勢力が秋波を送ったり、露骨にすり寄ったりしてくるかもしれない。いずれにしても、将来新たな「第三極」が生まれる可能性を筆者は否定しない。
長島氏は当面はどこかの党に入る気持ちはないようだが、今後の政局を占う一つの試金石が7月2日に行われる東京都議選だ。「都民ファーストの会」がどこまで「都議会自民党」を追い詰めるか、結果次第でその後の国政に少なからず影響が出ると思われるからだ。特に民進党は苦戦を強いられるのは間違いない。そうなったとき、「野党共闘」の在り方も問われることになる。
そうした中、民進党は10日夕方の執行役員会で、長島氏の離党届を受理せず、除籍(除名)処分とする方針を決め、11日の常任幹事会を経て正式決定すると報道されている。長島氏は民進党東京都連幹事長であったこともあり、都議選前の敵前逃亡と見られているようだが、そんなことより、党執行部は離党者が相次ぐ理由を真剣に考えるべきだろう。
今年から来年にかけ、新たな政界再編の胎動を私達有権者は感じることが出来るだろうか?長島氏の決断の波紋が今後大きく広がっていくかどうか、私たち有権者は見守る責務があろう。
写真:長島昭久衆議院議員の離党会見©Japan In-depth 編集部
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