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「2020年に向けた実行プラン」の問題点 東京都長期ビジョンを読み解く!その42

Japan In-depth / 2017年4月28日 8時55分

問題は3つ。

 

(1)目標達成手段の不明確さ

第一に、どうやって目標を達成するのかが見えない。目標達成に向けて、手段である各政策をどのように展開していくのか、そのシナリオが見えない、前提となる目標と各事業の目標との間に論理的な連関が見えないし、示されていない。

GDPを1.3倍にする責任を果たすためには相当の覚悟と努力・エネルギーや画期的な政策が必要だろう。日本国政府にも規制緩和もお願いしないといけないだろうし、移民や人口も増やさないと無理だろう。ちなみに平成26年度に94兆9千億円であった都内総生産(名目)は、平成27年度は95兆4千億円、都内総生産(実質)の対前年度増加率が実質マイナスの現状を見ると、正直、無謀では?達成責任を取る気がないなら取り下げてみては?とアドバイスしたいくらいだ。

(2)目標達成時の予測がされていない

第二に、目標が達成された状況が現実感をもって想像できない。目標を達成するだけが行政の役割ではないのだ。仮に目標を達成したとしよう。都内GDPが120兆円になった場合、東京への日本経済の一層の集中が進むだろうし、訪都観光客数が2500万人になると東京都内の観光名所が今以上に混雑することは避けられない。

現在でも新宿、渋谷、浅草は観光客があふれていて、人がごった返している。できれば訪問したくない場所だ。個人的なことだが先日右腕を故障した。怪我をして都内で電車を使用したのだが、角が固い重い鞄を当ててくる若い女性、空席めがけ一目散になって平気で割り込むおじさん、電車を降りる際にキャリーバックを2つもって降りてくる外国人の集団、列になって歩いていたところいきなり立ち止まりスマホでシャッターを切る老人などに正直恐怖を感じた。ちょっとした怪我の私でさえこうなのだから、しょうがいを持つ方にとってはまったくもって安心して移動すらできないだろう。譲り合いや他人への配慮も死語となったこの都会のジャングルで、みなを気持ちよく誘導するほうが行政機関の責任なのではないかと思わざるを得ない。

また、目標達成が社会にもたらす影響をどう考えているのか。社会は複雑にできているので、ある目標を達成することによって他領域にしわ寄せがくる。

仮定の話をしよう。

都内GDPは120兆円だけど、幸福度が都道府県でダントツで最下位になっているとか、移民が300万いるとか、所得格差が(世帯の年間収入300万円未満の世帯は東京都区部では全世帯の33%)ある地域では80%になってしまうとか、自殺死亡率(対10万人比、現在21.2)が7500になってしまうとか、・・・。

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