トランプ報道に一石投じた日経
Japan In-depth / 2017年5月15日 0時0分
だから日本側の朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、そしてテレビ各局にもその報道記事が配信される共同通信などはみなニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CBSテレビ、CNNテレビなどリベラル系の大手メディアの記事への依存で一貫してきた。その結果はトランプ大統領については悪いことばかりとなる。トランプ政権への支持者の結束やその新政策による不法入国者の激減、ビジネス志向による株価の大上昇、雇用の拡大、経済成長率のアップなどは、ほとんど大きくは報じられない。
そんな一般の傾向のなかで日本経済新聞が5月13日夕刊に「FBI長官解任 米メディア二分」という見出しのユニークな記事を掲載していた。この記事は米側の大手メディアのトランプ叩きの報道だけでなく、中立あるいは保守志向の他のメディアの報道をも紹介し、その両者の間のギャップがどれほど大きいかに光を当てていた。
日本の全国紙ではアメリカの保守志向のメディアの報道を伝えることがほとんどないため、この日本経済新聞の記事は異色だった。その記事の要点を紹介しよう。
■変わるか、日本のトランプ報道
【ニューヨーク=伴百江】という記者の発信記事である。
≪トランプ米大統領によるコミー前連邦捜査局(FBI)長官の解任は、保守系とリベラル系のメディアで両極端の報道が目立ち、大統領就任以来、最も象徴的な米メディアや米国社会の分断を映している≫
≪米紙ニューヨーク・タイムズなどリベラル系メディアは、解任理由は大統領選へのロシア関与疑惑を巡る捜査を妨害するためとみて「第二のウォーターゲート事件」と批判する。一方で有力テレビ局フォックス・ニューズなど保守系メディアはクリントン元国務長官の私用メール問題を巡るコミー氏の対応の誤りが解任理由だと判断。FBIの信頼回復のため新長官を任命し、メール問題の捜査再開を主張する≫
要するにリベラル系、保守系のメディアではトランプ大統領の解任の動機や理由はまったく異なるというのである。この日本経済新聞記事の異色な点は他の日本の大手メディアのこれまでの大多数の記事がトランプ政権の動向についてはニューヨーク・タイムズなどリベラル系メディアの報道だけを紹介してきたのに対して、保守系メディアの報道もきちんと伝えて、そのコントラストを強調した点である。これこそ客観的報道といえるのではないか。
この記事が日本のトランプ報道の質の改善の始まりとなることを期待したいところだ。
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