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「一帯一路」協力は日本の安全保障の利益

Japan In-depth / 2017年5月17日 12時26分

「一帯一路」協力は日本の安全保障の利益

文谷数重(軍事専門誌ライター)

【まとめ】

・日本はAIIBに参画し「一帯一路」に影響力を及ぼすべき。

・中国が中央アジア支配を進めるとロシアとの摩擦を引き起す。それは日本にとってメリットとなりうる。

・中国から天然ガスを買ったり、鉄道に投資したりすることでそれは可能となる。

 

■日本がAIIBに参画すべき理由

一帯一路への協力により中露を衝突させられるのではないか?

14,15日、北京で「一帯一路サミット」が開催された。これは中国が唱導する経済圏構想である。一帯は中国から中央アジアを経由して欧州に向かうシルクロード経済圏である。一路はマラッカからインド洋を経由し欧州、アフリカに至る海のシルクロード経済圏を指す。

中国はその膨大な資金需要を賄うためAIIB、アジアインフラ投資銀行を作った。日米は冷淡であったものの加盟国・地域は多く、今回加入した分を足すと77に及んだ。中国の政治・経済的存在感を示すものとなった。

日本はこの一帯一路、AIIBに対しどのような立場を取るべきだろうか?

今の冷淡な態度を改めて参加すべきだ。

なぜなら、それにより一帯一路やAIIBに影響力を及ぼせるからだ。まず、投資や開発のうち日本にとって不都合な部分を調整できる。また、それによって得られた市場への参入機会も得られる。そして一帯一路経済圏の中国従属化に多少のブレーキをきかせ、日本の経済・文化的影響力を入り込ませる余地を残すことができる。

それ以外にも安全保障での利益も期待できる。中央アジアにおいて中国影響力が拡大すればロシアとの摩擦・緊張が生まれ、うまくすれば衝突にも発展するだろう。※

以下、その大概を説明する。

 

■中国の矛先を逸らすことができる

「一帯一路」は日本にとって悪い話ではない。中国が一帯の開発つまり中央アジアへの政治・経済的支配を進めればロシアとの摩擦も引き起こされるためだ。

ロシアは中央アジアの中国圏化に耐えられない。20年前のソ連崩壊まで自国領域であった土地であり領土喪失感を引き起こすためだ。ウクライナの西側化を許容できなかったように中央アジアでも介入を試みる。

つまり、ロシアとの摩擦により中国は中央アジアに足を取られるのである。

それは日本安全保障にとって利益となる。中国の進出方向がより西向きとなる。日本にとってどうでもよい中央アジアに中国の外交・軍事パワーが吸い取られる。その分、東シナ海や太平洋への圧力が減少するのである。

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