イスラム世界との和解遠し トランプ中東訪問
Japan In-depth / 2017年5月23日 11時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#21(2017年5月22-28日)
【まとめ】
・トランプ、サウジ訪問でイスラムを刺激する発言連発。
・トランプの欧州デビューにロシアゲートの影。
・北朝鮮、いずれ核実験行うと予測。
日本では北朝鮮のミサイル発射がビッグニュースだが、今週筆者が最も気になったのは初外遊の最初の訪問国サウジアラビアでのトランプ氏の演説だ。聴衆はアラブ・イスラム諸国首脳たち。大統領選中あれだけ反イスラム発言を繰り返したトランプ氏にはイスラムとの和解を図る数少ない機会となるはずだった。
確かにスピーチの始まりは悪くない。
“We are not here to lecture. We are not here to tell other people how to live, what to do, who to be or how to worship. Instead, we are here to offer partnership, based on shared interests and values.”
イスラムに対し教訓を垂れるつもりはない、との姿勢は評価できた。
これは宗教の戦いでも文明の戦いでもない。善と悪との闘いなのだ。
“This is not a battle between different faiths, different sects or different civilizations... This is a battle between good and evil.”
スピーチライターもそれなりに頑張って書いたのだろう。ここまで、トランプ氏にしては、何とか合格点だった。
ところがその後は駄目だ。事前の打ち合わせでは、多くのムスリムが忌み嫌う「イスラム過激テロ “radical Islamic terrorism”」なる言葉ではなく、「イスラム主義過激派 “Islamist extremists”」を使う筈だったのだが、結局トランプ氏は何度かIslamistの代わりにIslamicを使ってしまったようだ。
まあ、トランプ氏が英語で何を言ってもアラビア語訳は同じだろう。だが、続いてトランプ氏は「イスラム主義過激派を地上から抹殺せよ」と吠えた。
“Drive them out of your places of worship. Drive them out of your holy land. And drive them out of this Earth.”
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