イスラム世界との和解遠し トランプ中東訪問
Japan In-depth / 2017年5月23日 11時0分
レクチャーなどしないはずだったのに、だ。
やはりトランプ氏のような人物に外交上の微妙なニュアンスの違いを理解させることは至難の業のようだ。今週はサウジアラビアの後、イスラエル、バチカン、ブラッセル、イタリアを訪問するらしいが、とにかくサプライズなく無難な結果に終わるよう祈るしかない。
〇欧州・ロシア
今週は25日に米大統領のブラッセル訪問でNATO首脳会議と米EU首脳会議が、26-27日にはイタリアでG7首脳会議がある。トランプ氏にとっては欧州デビューというところだが、肝心の対ロシア政策について欧米の腰が定まっていない。ワシントンではロシアゲートで大騒ぎだが、そんなことでNATOは大丈夫か。気になるところだ。
〇東アジア・大洋州
今週のもう一つの注目点は北朝鮮の中距離ミサイル発射だ。金正恩氏は大喜びで、このミサイルを量産すべしと命じたそうだが、逆に言えば、他のミサイルは皆まだプロトタイプということだろう。日本を射程距離内に置くこの移動式発射台からcold launchできる弾道ミサイル、核弾頭の完成度が気になる。
問題はこれで中国が本気になるかどうかだが、筆者の見立ては「否 not yet」である。北朝鮮の動きを見ると、米中が強硬策を取れないぎりぎりの範囲内で最大の効果を得るような方法を巧みに組み合わせている気がする。中国も生命維持装置を外す気はなさそうだから、北朝鮮はいずれ核実験を行うだろう。
〇中東・アフリカ
日本ではあまり大きく報じられなかったが、先週19日のイラン大統領選で現職ロウハーニ大統領が予想通り再選された。投票率は73.1%で、ロウハーニは2355万票(57.1%)を獲得、第2位のライーシー前検事総長は1579万票(38.3%)だった。最近のイランの大統領は再選が続いている。やはり現職は強いということなのだろう。
それにしても、トランプ氏が民主主義のかけらもないサウジでイラン批判を強めつつある中、イランが完全ではないものの「民主主義もどき」の大統領選挙を実施し、これまで保守対穏健の政権交代が整然と行われていることは皮肉としか言いようがない。第2位となった保守派のライーシーはまだ56歳、次期大統領の可能性は残っている。
〇南北アメリカ
「特別検察官は・・大統領にも解任できない。」と19日付某有力日刊紙が一面トップに書いた。どうも米国の特別検察官については誤解が少なくないようだ。そもそも筆者の知る限り、特別検察官は4種類あり、官職の英語名だけで3つもある。詳しくは今週木曜日の産経新聞のコラムを読んでほしい。
〇インド亜大陸
特記事項なし。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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