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テロ相次ぐインドネシア 高まる社会不安

Japan In-depth / 2017年5月26日 11時3分

テロ相次ぐインドネシア 高まる社会不安

大塚智彦(Pan Asia News 記者)

「大塚智彦の東南アジア万華鏡」

【まとめ】

・ジャカルタで5人死亡の自爆テロ発生。

・イスラム教過激派組織の関与疑惑も。ラマダン前に社会不安増幅。

・大統領、国是「多様性の中の統一」の共有を訴える。

 

■イスラム教過激派組織が背後に?

インドネシアの首都ジャカルタ東部、カンプン・マラユ地区で24日夜、2度に渡る爆弾爆発があり、付近にいた警察官3人を含む5人が死亡(2人は実行犯)、警察官5人と市民5人の10人が重軽傷を負う事件が起きた。インドネシア国家警察は、目撃情報や現場の状況から実行犯2人による自爆テロとみて犯人の身元と背後関係を捜査している。

インドネシアは25日がキリスト教昇天祭の休日で、27日の土曜日からはイスラム教の約1カ月に渡る断食が始まる予定だった。さらに英国マンチェスターでの爆弾テロの直後でもあり、イスラムテロ組織「イスラム国(IS)」との関連やインドネシア国内過激派組織の関与が疑われているが、これまでのところ犯行声明は出されておらず、犯行の動機などはわかっていない。

カンポン・マラユのジャカルタ公共バスの停留所にあるトイレと隣接するバイク置き場の2か所で24日午後9時ごろ(日本時間同日午後11時ごろ)、相次いで爆発音が轟き、煙が上がった。近くの道路では断食入りを前にしたイスラム教徒のお祭りの行列が行進中で、警備にあたっていた警察官がこの爆発で死傷した。

国家警察では、自爆テロの実行犯とみられる男性の頭部が現場に残されていたことなどから「犯人の身柄特定は困難ではないだろう」としている。自爆テロという犯行手口や警察官を狙った可能性があることから、治安当局では2016年1月にジャカルタ中心部のスターバックス店前の警察官詰め所付近で起きた爆弾テロと銃撃戦(実行犯4人、市民4人が死亡、警察官5人を含む20人が負傷)と同様にイスラム教過激組織の影響を受けた犯行グループが背後にあるとみて捜査を進めている。

 

■社会不安増幅への警戒感

インドネシアでは5月9日にイスラム教を侮辱したとして「宗教冒涜罪」「公共の場での憎悪表現罪」に問われていたジャカルタ特別州のバスキ・チャハヤ・プルナマ(通称アホック)知事に対し、1審のジャカルタ地裁が予想外の禁固2年の実刑判決(検察側は宗教冒涜罪を取り下げ、禁固1年を求刑)を下したことを契機に、社会の公正と多様性への寛容を求める市民運動が各地で展開していた。

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