ミンダナオ島内戦に突入、ISの影
Japan In-depth / 2017年5月27日 23時0分
人口約20万人のマラウィ市民の約2万人がこれまで市外に避難したものの多数が市内に取り残されている。このため国軍はピンポイントの爆撃や砲撃しかできず、「人質処刑」の情報も流れる中、膠着状態に陥っている模様だ。
電力施設が攻撃されて市内は停電しており、取り残された市民、避難した市民への人道支援物資の供給も新たな課題として浮上するなどドゥテルテ政権は対応に追われている。
■ISとの関係が浮き彫りに
国軍によると、26日までの戦闘でテロ組織側31人、国軍兵士11人、警察官2人が死亡、負傷者多数がでている。
殺害されたテロ組織側のメンバーにはマレーシア人、インドネシア人、シンガポール人が含まれていることを国軍が確認。ミンダナオ島ダバオで会見したカリダ司法局長は「イラクやシリアに渡航できなかった東南アジアのイスラム教徒、テロ組織のメンバーがフィリピンに密かに渡航して現地の組織に加わっている可能性が高い」とした上で「今ミンダナオで起きていることはフィリピン人による反乱、反政府行動というレベルをはるかに超えた外国人テロリスト、外国テロ組織も加わったフィリピンへの侵略、内戦状態といってもいいものだ」と述べ、深刻な現状を明らかにした。
■大統領、テロ組織殲滅指示
ドゥテルテ大統領も予定を繰り上げてモスクワから帰国、議会に戒厳令布告の報告書を提出するとともに「私の軍への命令は武器を持って抵抗するものは直ちに殺害せよというものだ。殺害して排除しない限りテロリストは将来再び問題を起こす、彼らの息の根を止めなければならない」と強硬姿勢を示して事態の収拾を指示した。
フィリピンではこれまでドゥテルテ大統領による「和平停戦」の呼びかけに「アブサヤフ」は応じることなく、外国人誘拐、殺害、身代金要求、銃撃戦を続け国内治安問題の最大の「脅威」となっていた。その掃討作戦中に乗じる形で登場してきたのが「マウテグループ」と呼ばれる組織。
治安当局によると「マウテグループ」は元警察官で麻薬組織を率いるアブドラ、オマール・マウテ兄弟が組織したといわれ、2016年の調査ではメンバーは263人だった。その後麻薬組織メンバーや地元犯罪者などが加入し、麻薬を資金源として大量の武器も取得、ISとの関係を深めてミンダナオ地方にISの東南アジアの拠点を構築することで「アブサヤフ」とも思惑が一致、今回の共同作戦になったとみられている。
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