理想の議員像を考える 東京都長期ビジョンを読み解く!その45
Japan In-depth / 2017年6月1日 11時25分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
【まとめ】
・理想の議員の条件の一つは「コミュニケーション力」。
・議員が毎日発信することにはリスクもある。
・結局、議員を育てるのは私たち有権者。
■理想の議員像の「条件」
個人的なことだが、長年、理想の「議員像」を追い求めてきた。一時は議員事務所のスタッフとして、一時は政治学者のはしくれとして、一時は行政コンサルタントとして、一時は政治家の公約作成者として。
議員という人たちは、本当に凄い人たちだと個人的には思う。まず、多くの他人の目にさらされる。支持者は暖かくもあり、時には厳しい。おもねると頼りないと言われ、諭すと偉そうと言われる。政治に不信を持っている人には露骨に無視される。他方、行政職員は、実力を常に値踏みしている。
現実を言うと、多くの人々は地位や肩書だけでリスペクトをしてくれるような甘い世の中ではなく、それなりの振る舞いを期待される。相手への敬意を欠いた言動は許されないし、少しも気を抜けない。その意味でスーパーな能力が求められる。
また、多くの利害関係者に何かしらの期待や感情的納得を約束しないと当選もおぼつかないわけで、ある程度の嘘をつくことも構造上仕方のないことかもしれない。有権者全員のことを等しく気にかけてくれ、声をかけてくれる、そんな非効率的な活動はできず、現実は当面自分が当選するための活動が優先される。
こうした構造上の問題はあるにせよ、新しい時代、21世紀の政治家像はこうあってほしいという条件がある。それは
・可能な限り分け隔てなくコミュニケーションを取っている
・主張を明確にしていて、発言や行動の理由を丁寧に説明している
・地位に安住せず、謙虚に学び、努力している
・支持母体・団体との関係、企業献金や支援者との関係を明確化している
この4つがその条件である。権力の魔力・魅力に惑わされず、特権的な権利や権力を発揮する舞台において自分を見失わず、相対化するというのはスーパーな議員であってもなかなか難しいものだ。
■ブロガー議員が抱える毎日発信するリスク
こうした中、久々、これは!という議員に出会った。「ブロガー議員」として有名な音喜多駿東京都議会議員は上記の条件に多く当てはまる。彼は自身の給与明細の内訳を公開、積極的かつ相手に伝わる情報発信、政治を分かりやすくかみ砕いての都民の関心喚起・理解促進、問題意識の表明、質問ゼロ議員も多い議会で上位の質問数、トップレベルの文書質問趣意書での質問などの行動をとっている。
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