理想の議員像を考える 東京都長期ビジョンを読み解く!その45
Japan In-depth / 2017年6月1日 11時25分
手元に「東京都の闇を暴く」(新潮新書)という本がある。この本が示すのは新たな時代が求める議員の理想像である。
その本質は3つ。
・人々が求める通常の「感覚」を都議会という「村社会」へ持ち込む感性
・「おかしい」と思うことをじっくり調べたうえで発信する姿勢(継続性)・オープンさ
・「企業団体献金を受けとらない」「選挙における組織的な応援・推薦はうけない」という倫理観
この3つ。とても難しい。
特に、(毎日のように)発信をすることにはリスクがある。比較的若くてかわいらしい人なので(失礼)、単なる価値観の差からくる意見対立、無意識の敵意、誤解からくる無理解、無理解ゆえの感情的反発、嫉妬、目立つことなどへの嫌悪感といった負の感情にさらされるはず。なのにも拘わらず、自分の意見を提示し、それで評価を受けようとする。
自分の一言が、知識を同等には持たない、事情をわかっていない他人によって、時には論理的ではない好き嫌いなどで評価されるわけだから、その勇気には驚嘆するしかない。
また、彼を支えているのは、問題意識を持った都民だとも言える。音喜多氏は自身の性格や人間性を発揮し「行政改革の思い」「正義感」を巧みに相対化し、他人が理解できる、共感できる文脈に翻訳しているのが特徴。
本当の心は打算のたかまりで、したたかな戦術を演じているだけの可能性もあるかもしれないが(失礼、笑)、人間はアウトプットした言動と行動で評価される存在である(神のみぞ知る)。
ただし、今回彼の姿勢を絶賛してはいる私ではあるが、個人的な意見としては彼の主張する政策とは相いれない部分も非常に多く、質問内容には疑問をかしげることも多い。
特に、都市としての成長、容積率の緩和=建物の高さ制限の緩和を主張しているが、まったく意味がわからない。ヒートアイランド対策にマイナス(汐留が風の流れをどれだけとめたか)、景観が失われること(空すら眺められない)、オフィスの一部地域への過度の集中(他の多くの地域のオフィスの空室率があがる)、防災の視点(災害時はタワマンは孤立する)から反対である。
超低金利が示すのは「実質投資空間」の消滅。資本主義経済自体が限界を見せていて、水野和夫氏がイデオロギーや価値観、システムが一新された「長い16世紀」と同じく、21世紀は新しいシステムを模索せざるを得ないと指摘しているように、従来の経済成長モデルで考えられては困る。東京だけに集中させてどんな意味があるのか、そして、高層ビルにおける健康への影響についてもどう考えているのか質したいところだ。
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