米・パリ協定離脱で国際情勢不安
Japan In-depth / 2017年6月7日 7時0分
〇 欧州・ロシア
また英国で、今回はロンドンだが、再びテロ事件が起きた。英国でのテロは2005年以降静かだったが、最近凶悪テロ事件が二回続いた。英国もフランスやベルギーを笑えないだろう。6月8日には総選挙があるが、メイ首相はどうなるのだろうか。
英国も日本と同じ水際防御が容易な島国で、AK-47のような銃器の入手は難しいのかもしれない。だが、英国式の「イスラムとの共存」政策は破綻したと言っても良いだろう。欧州大陸と同様、国内の「イスラム教徒の海」の制御は難しいということか。
〇 東アジア・大洋州
4-8日にベトナムのグエン・スアン・フック首相とラオスのトンルン首相が訪日する。これも地味な扱いだが、重要な訪問だ。ベトナムはインドシナ地域の最強国で対中関係が微妙。これに対し、ラオスは最貧国の一つで中国とはべったりの関係。こうした外交の積み重ねが何時か花咲くことを信じたい。
〇 中東・アフリカ
5日は第三次中東戦争開戦の50周年に当たる。第三次は「6日戦争」とも呼ばれ、イスラエルの不敗神話を作った戦争だったが、多くの若い人々は現在の中東和平問題の焦点であるイスラエルの西岸・ガザ占領がこの時始まったことを知らない。
当時国連安保理決議242と337が作られ、その後和平交渉が本格化したが、1993年のオスロ合意以降、交渉は停滞した。イスラエルは入植地拡大を止めず、パレスチナ側はファタハとハマスに分裂したからだ。今、決議242と337を言っても空しい。
サウジなど4カ国がカタールと国交断絶したことで、一部の人はびっくりしている。筆者は、「よくあることで、驚かない」、子供が「君なんか嫌いだ、もう絶交だ」と喚くのと同じで、真に受ける必要はないと言っている。カタールの品行の悪さはいつものこと。
〇 南北アメリカ
6日にコウミー元FBI長官が上院情報特別委員会の公聴会で議会証言するという。トランプ氏にとっては手強い相手、ホワイトハウスは証言阻止を企んでいるとも報じられたが、さすがにそれは難しいだろう。
この証言で何が飛び出しても、トランプ氏は無視を決め込むはずだ。まだ、トランプ対ワシントンの戦いは序盤戦。共和党の議員が中間選挙でトランプと共に戦うか、トランプ抜きで戦うか、のどちらが再選に有利と判断するかが焦点。全てはそれ次第だ。
現状ではそう簡単に大統領弾劾などの事態に至らないだろう。共和党議員は上下両院で多数派を占めている。トランプさえ静かにしてくれれば、かなりの法案を通すことができると考えるはずだからだ。ワシントン人のフラストは溜まるばかりだろう。
〇 インド亜大陸
特記事項なし。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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