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ドゥテルテ氏、共産勢力と共闘?

Japan In-depth / 2017年6月7日 19時34分

呼びかけに応じて戦闘に参加する場合は「国軍兵士として雇用し兵士と同等の給与、待遇そして住居も用意する」という好条件を提示している。大統領は「これはMNLFの創始者のヌル・ミスアリ指導者から届いた文書で、マラウィでMNLFの戦士とともに戦おうと呼びかけられたからである」としている。その事実関係は不明だが、これまでのところ共闘を呼びかけられた組織のいずれからも打診への回答は来ていないという。


マラウィ市は30日で戒厳令布告から1週間を迎えたが、現地からは「国軍が市内を掌握しつつあり戦闘終結は近い」とするものから、「市内主要地点では市民やキリスト教関係者を人間の盾、人質にとったマウテグループらとの戦闘が続いている」とするものまで各種情報が入り乱れている。少なくとも政府軍による作戦が順調に進み「鎮圧が間近」であるなら「共産勢力まで国軍との共闘を呼びかけないだろう」といわれている。


マラウィ市内では28日は殺害されたとみられる市民8人の遺体が発見された。いずれも手を後ろで縛られ頭部を撃たれていることから武装組織による「処刑」の可能性が高いという。国軍兵士、警察官、武装組織そして市民の死者はこれまでに100人に上っている。


 


■反政府勢力との和平合意の努力


ドゥテルテ大統領は2016年6月の大統領就任直後からフィリピン各地で政府軍と戦闘を続ける反政府武装勢力に対し「停戦と和平合意」を掲げて交渉に臨んできた。しかし「アブサヤフ」は当初から交渉のテーブルにはつこうとせず、外国人拉致、身代金要求、殺害、治安部隊への攻撃、銃撃を続けてきた。


一方のNPAも一度は停戦和平で政府側と合意したものの、拘束中のNPAメンバーの釈放交渉で決裂、今回の戒厳令発布に際しては「各地で政府軍との戦闘に備えよ」との指令まで出すなど緊張関係にあった。


そうした中でのドゥテルテ大統領の「共闘打診」は唐突の感を否めないが、ISの影響力の徹底的排除は急務であり、またそれは国際社会が進める「テロとの戦い」に叶うものである、という理由の他に:



①膠着状態にあるとも言われる戦闘の早期終結


②反政府武装組織と共闘することで今後の和平交渉の進展



などのフィリピン国内の事情と思惑がドゥテルテ大統領の心中にはあるものとみられている。


フィリピン議会では5月27日にドゥテルテ大統領が「警察と軍が国内は安全というまで戒厳令は続く、他の声は聞かない」と発言したことが最高裁や国会などを無視する発言だとして強い反発が高まっている。フィリピンでは戒厳令布告後に最高裁や議会がその可否を審議する規定があるが、これを無視することは「独裁政治だ」というのだ。


こうした批判を交わすためにもドゥテルテ大統領には一日も早い事態打開、戦闘終結が求められており、「NPAを含めた勢力への共闘打診」は“苦肉の策”なのかもしれない。

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