インドは原発を買わない 日印原子力協定
Japan In-depth / 2017年6月9日 11時0分
今日、天然ガスはタダ同然である。高原油価格時代に開発着手されたガス田からの大量供給されていること。その上、原油価格の長期下落に伴い天然ガス価格も値崩れした結果である。ポット価格でピーク20ドル/BTUだった天然ガス価格は昨年1.5ドルまで落ち、今でも3ドル程度にすぎない。
ちなみに原油・天然ガス価格は上がる見込みはない。
原油であれば減産は効果を見込めなくなっている。非OPEC、特にアメリカのシェールオイルで綺麗に埋められている。OPECは2016年から1日58万バレルを減産したが、その2016年にアメリカのシェールオイル生産は1日60万バレル増加している。
天然ガスはさらに条件が悪い。米豪の開発が続いており、輸出量は最終的にはロシアの対欧輸出量と並ぶと見られている。特に需要国のアジア向けは豪州の安価なガス供給でむしろ値崩れする。比較的近距離な上、運河通航の必要がないためカタール・マックスと呼ばれる大型タンカーによる安価な輸送が実現するからだ。
インドはこの天然ガス利用により容易に二酸化炭素排出は抑制できる。これは石炭から天然ガスへのシフトで排出量の大幅抑制を進めている中国先行例が示すとおりだ。
実際には今後インドは今以上に天然ガス、特にLNG利用をすすめる。
インドはパイプラインは期待できない。中央アジアには開発の目処すらつかない未利用天然ガス資源がある。だが、インドはパイプラインで輸入できない。政情不安なアフガニスタン、宿敵パキスタン経由となるため現実味がない。ミャンマーにもガス田はあるが、ほぼ開発済だ。
その点、経路を問わず世界中どこからでも買えるLNGが有利となる。LNG液化費用はBTUあたり3ドル掛かるが、それでも輸送距離3000kmでパイプライン輸送コストと釣り合うという。極端に高くなるものではない。
■175GWの自然エネルギー計画
理由の第三は自然エネルギーへの傾倒だ。
インドの電力開発は太陽光・風力の自然エネルギーを最優先としている。2022年までに合計175GWの達成、内訳としては太陽光発電の100GW達成と、小規模水力を含むその他の自然エネルギー発電整備が75GW到達が計画されている。
実際にインドでの自然エネルギー普及は急速である。実用技術が出始めた2007年には7GWしかなかった自然エネルギーは昨年度に57GWに達している。もともと発電力や電力網が貧弱だったせいもあるが、発電割合では14%を占めるに至った。
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