「闇の国家」がトランプ政権打倒目論む?
Japan In-depth / 2017年6月20日 11時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#25(2017年6月19-25日)
【まとめ】
・FOXニュース「元FBI長官らが大統領に対するクーデター企む」と報じる。
・米国の国内分裂は深刻なレベルに達している。
・ワシントンではトランプ政権に対する諦観も感じられる。
6月18日(日)午後に米国から帰国した。トランプ政権発足からもう4回目のワシントン出張だ。キヤノングローバル戦略研究所とスティムソン・センター共催のシンポジウムでも喋ってきた。日米研究者が「日米関係以外の問題」を議論するこのシリーズは今回が3回目。これには筆者のちょっとした思い入れがある。
なぜ「日米関係以外」に拘るのかって?昔から「日米関係者の、日米関係者による、日米関係者のための会合」にはあまり関心がなかった。ワシントンのシンクタンクと議論する以上、ジェネラリスト米国人研究者の関心事と話が噛み合わなければ、議論する意味はないと思うからだ。
それでも、今の米国の国内分裂は悲劇的だ。こんな中で米新政権は対欧州・中東・アジアで戦略的、地政学的な外交政策をしっかり立案・実施できるのか。米滞在中、保守系FOXニュースが「Deep Stateが報復、トランプ政権崩壊を望む」といった煽情的ニュースを終日流していたのには正直耳を疑った。
ディープ・ステートとは「闇の国家」、政府内機関・組織が政治指導者の文民統制に従わず、勝手な行動をとる状況だ。「元FBI長官も司法省副長官や特別検察官も全て闇の国家の一員で、大統領に対するクーデターを企んでいる」のだという。ばかな!詳細は今週の産経新聞コラムを読んでほしい。
米国滞在中、日本時間の17日未明、米海軍イージス艦とコンテナ船が衝突した。いつも思うことは、この種の事故では日本人に犠牲者が出れば大騒ぎとなるが、米国人が犠牲になっても日本の新聞は何も言わない。今回犠牲になった水兵7人を含め、彼らは日本防衛のために働いているのに、である。何かがおかしい。
〇欧州・ロシア
19日から英国のEU離脱交渉が始まる。第二期メイ政権がどうなるのかも決まらないまま、EU側との話が再開される。これではEUも譲歩などできるはずがないだろう。そんな中、ロンドンでは高層アパートで大火があり、英仏で再びテロ事件が起きた。メイ首相にとっては大きな試練、果たして彼女はこれを乗り越えられるだろうか。
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