「正義の人」バヌアツ大統領、逝く
Japan In-depth / 2017年6月28日 8時44分
相川梨絵(フリーアナウンサー・バヌアツ共和国親善大使)
「相川梨絵のバヌアツ・ニュース」
6月17日未明、バヌアツ共和国 バルドウィン・ウォンテロ・ロンスデール大統領(享年68歳)が急逝しました。
前日には、パーティーに参加されていたそうで、突然の訃報にバヌアツ全土が悲しみに包まれました。
教師や牧師などのキャリアを経て、2014年第8代バヌアツ共和国大統領就任。以降、特に若い世代の育成や女性の人権擁護などに力を注いでいました。
2015年にサウスパシフィック大学の学長に就任し、道徳的思想、強いリーダーシップをもつ若者の育成がバヌアツのみなならず、太平洋諸国に必要と訴え続けました。
また、歴代大統領で始めて、女性擁護団体とのミーティングもされています。
記憶にも新しい2015年3月、巨大サイクロンPAM襲来の際には、日本で開催されていた世界防災会議に出席中で、日本から世界にバヌアツ救済を呼びかけました。
そして、彼を「正義の人」と人々に言わしめた出来事が、同じく2015年10月に起きたバヌアツ史上最大の汚職事件でした。この事件で、現役大臣を含む15人が贈収賄で逮捕、有罪が決定しました。
この時、大統領は、会議に出席の為、バヌアツ不在。それに目を付けたペペテ大統領代理が、自分も有罪判決を受けいているにもかかわらず、自分を含めた全員の恩赦の手続きをとってしまったのです。
これを知ったロンスデール大統領は、すぐさま、帰国。国民に謝罪し、適切な法的手段をもって、ペペテ氏と他の有罪者、まだペペテと一緒に恩赦を実行したブレインたちを起訴したのでした。
そんな偉大な大統領の死。現役の大統領が亡くなるのは、バヌアツ史上初めての事です。彼がなくなった17日から26日までの10日間は国として喪に服す期間となりました。
また、ご遺体が首都ポートビラから故郷のトルバ島へ帰る21日はパブリックデイとし、大統領に哀悼の意を込めて、すべての機関、学校、商店などがお休みとなりました。御遺体が、ポートビラにある20日までは、企業団体ごとに一般の弔問も許可されました。私も最後の御挨拶をしてきました。
建物の中に入ると、大統領の大きな写真が2枚。そして、祭壇には、なんと安らかなお顔でロンスデール氏が横たわっています。お体は白いシーツでくるまれていますが、お顔はみんなに見えるようになっています。その下にはたくさんのお花が供えられていました。
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