独立志向で四面楚歌に陥った台湾
Japan In-depth / 2017年7月7日 9時28分
蔡政権はいずれの協議からも拒否される。その加入認可は中国外交への敵対となるからだ。世界大国の中国との政治・経済関係を考慮すれば台湾地区の加入は問題外だ。
つまり経済協力の利益を享受できなくなったのだ。TPPやRCEPで実現する高度な自由貿易や、AIIB加入で得られる新市場への参画が果たせないのである。
同時に台湾資本の中国本土や香港・マカオへのアクセスにも不安を抱えることとなった。シンガポール軍装甲車の件はそれを示唆するものだ。演習地を借用している台湾への移動中、香港で留置されたニュースがそれだ。
もちろん中国は現段階で台湾住民の活動を制約してない。台湾省の住民も保護すべき中国国民であり、同時に台湾地区回収のためにはいい顔をしなければならないからだ。
だが台湾政権の態度次第ではどうなるかわからない。仮に台湾資本の活動が制約されれば、大陸依存の台湾経済は危機に瀕することとなる。
■ 軍事力低下
最後が軍事面での自立性低下である。事実上の独立は軍事力によって担保されるが、蔡英文政権の登場により更新が停滞している。
独立派政権は武器を購入できない。台湾に武器を売却できるのは米国だけだ。その米国にしても対中関係は台湾関係よりも優先する。そのため独立性の高い台湾政権には武器売却を躊躇う。
これは陳水扁政権と馬政権を比較すれば明らかだ。独立志向の前者では武器売却はまとまらず、引き渡しも意図的に遅らされた。それが大陸協調派の後者ではスムースとなった。ちなみに、先月アメリカからペリー級が到着したが、その売却承認は馬英九政権下できまったものだ。
その例からすれば、蔡政権下では台湾軍事力強化は見込めない。
戦闘機の入手は絶望的だ。台湾のミラージュ2000の退役は近い。多湿による劣化といわれているが、可動率は大幅低下している。
アメリカは蔡政権下に売却しない。防諜体制がザルなせいでもあるが米国はF-16のアップグレードにも消極的だ。当局が夢想するF-35整備どころかF-16最新型の購入も無理だということだ。
実用潜水艦の整備も厳しい。乗り物としての潜水艦は国産可能だ。例えば台湾プラスチックは高圧に耐える化学プラントを製造できる。それからすれば耐圧船殻やバルブは製造できる。エンジンや電池は民生用を転用すればよい。
だが肝腎の器材が揃わない。ソーナーと潜望鏡がその筆頭だが、魚雷と魚雷発射管も絶望的だ。手持ちのドイツ製魚雷はあまり使いものにならない。魚雷発射管もノウハウからまともにつくれない。
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