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カタール断交 次の標的はオマーン

Japan In-depth / 2017年7月15日 12時4分

 

■ 原油・ガス生産での協力

オマーンは原油・天然ガス生産でもイランとの協調を進めなければならない。これも今のサウジに親イランを印象づける。

オマーンの油田には老朽問題がある。涸渇といってもよい。自噴段階を終え、加圧による二次回収段階も終わった。その採掘量ピークは2000年頃であった。

このため新油田探索や高度技術による3次回収が必要となる。新しい油田やガス田を見つける、あるいは従来油田の中の取り残しを高度技術で回収する手法だ。

そのうち後者にはイランとの協力が必須である。オマーンの油田では熱攻法、水蒸気を油井に吹き込み重質油を軟化させ地層から剥ぎ取る方法が検討されている。そしてその熱源となる天然ガスは不足しており、イランから海底パイプラインで賄う予定である。

そもそも天然ガスが不足している。LNG(液化天然ガス)輸出にもイラン産ガスが必要だ。オマーンは石油化学プラントでの原油精製やアップグレードに力を注いでいる。この操作にも天然ガスを使う。結果、自国産天然ガスでは供給不足となり、長期契約のLNG輸出分の確保も厳しいからだ。

ちなみにイランからの天然ガス輸入量は年10bcm(100億立法メートル)とされている。これはオマーンの年間LNG輸出量とほぼ同等である。イランから輸入しなければ老朽油田からの3次回収と石油プラントを諦めるか、LMG輸出を諦めるかの二者択一となるということだ。

 

■ イエメン問題での中立

最後がイエメン問題でオマーンはサウジ寄りに立たないことだ。イエメンの内戦はサウジを筆頭とする汎スンニズム陣営とイランの代理戦争である。そしてオマーンはそこでも中立、仲介者的立場をとっている。

これはサウジとイランの2つの地域大国の間に位置した宿命だ。当然ながらどちらの味方もできない。片方の味方をすれば残り片方の敵となる。

また、イエメン各勢力に対しても中立をとる。内戦後を考えればそうなる。片方への肩入はもう片方の恨みを買う。隣国に反イエメン勢力を作ることにつながる。

だから中立の立場で仲介者として振る舞っている。宗派的にもイバード派であるため、スンニ・シーアの対立から距離を取れる立場にある。

だが、この中立的立場も今のサウジからすれば親イラン的にも見える。サウジはイエメンの泥沼化に焦燥呻吟している。軍事的にはサウジとの対テロ協力に協力しながら、イエメンでのサウジにとってのテロ組織、フーシ派との戦いに参加しないオマーンは中立よりも親イラン的にも見えるだろう。

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