中国第6世代ホープ失脚の衝撃
Japan In-depth / 2017年7月18日 22時49分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー2017#29(2017年7月17-23日)
【まとめ】
・中国重慶市党委書記の孫政才氏、突如解任。第6世代のホープ。理由は不明。
・さらに失脚が進めば習近平氏への権力集中進む。
・イラクモースルISから奪還、イランの影響力強まる懸念。
薄熙来失脚後、2012年に吉林省党委書記から重慶市党委書記に昇格していた孫政才氏が先週突然解任された。本当か、なぜ彼なのか。孫政才といえば知る人ぞ知る、将来を嘱望された第六世代の逸材だ。本当に彼が失脚したとすれば、さすがは中国だ。やはり党大会の年には「何でもあり」ということか。
孫政才氏は1987年から党の活動に参加、翌年入党。北京市農林科学院大学院修了(作物栽培・耕作学)、農学博士。同科学院研究員、同科学院作物所研究室副主任、同科学院土肥所所長、同所等支部書記、同科学院副院長、同科学院党委員会副書記等を経て、中国共産党順義県委員会副書記に就任している。
その後、順義県副県長、代県長、県長、中国共産党北京市順義区委員会副書記、同区長、同区党委員会書記などを歴任した。2006年12月、第10期全国人民代表大会常務委員会第25回会議で農業部長就任が決定。2009年11月、吉林省党委員会書記に抜擢された。
更に、2012年11月には重慶市党委書記に就任し、当時、内モンゴル自治区党委書記から広東省党委書記となった同い年の胡春華氏とともに第6世代のホ-プとされ、「ポスト習」の有力候補として注目されていた。胡春華氏とは異なり、共産主義青年団出身ではないが、胡錦濤前総書記に近いといわれる。
問題は何故今、パージの対象が孫政才なのかということだ。これまでの経験から、昨日の今日では確度の高い情報は出て来ないだろうが、親族の腐敗などと言い始めたら、それこそ誰が捕まってもおかしくないのが中国だ。やはり、今年10月の党大会での人事の一環なのか。それにしても恐ろしい国である。
〇欧州・ロシア
21日には核問題でイランと主要国との協議がジュネーブで行われる。一方、16日には金融犯罪との関連でイラン大統領の実弟が逮捕された。これがイラン内政の一環であることは間違いないが、イラン大統領再選後、経済制裁をめぐる米国との協議も進んでいない。同大統領の出方にはとても興味がある。
〇東アジア・大洋州
冒頭の中国共産党幹部人事の続きだが、孫氏のライバル胡春華氏は1963年4月生まれ、北京大学卒、湖北省出身の天才児といわれた。2006年まで一貫してチベットに勤務。1997年に共青団書記処書記、2007年に同団第一書記、2009年に河北省長、その後内モンゴル自治区党委書記から広東省党委書記に就任した。
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