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豊洲・築地2市場両立不可能 東京聖栄大 藤島廣二氏

Japan In-depth / 2017年7月20日 0時35分

日本の小売業界の寡占率は他国と比較して非常に低い。藤島氏は「日本では上位5社の小売店チェーンのシェアは約30パーセント。しかし、欧米では少なくとも約40%、多いところでは70%。オーストラリアは2つのスーパーマーケットしかないので80%」と述べた。

寡占率が高まってくると、「生産者は安く買われ、消費者は高いものを買わされることにもつながりかねない。」と藤島氏は指摘する。一方、寡占率が低いと、小売は卸売市場から「仕入れることができ、非常に有用な利益になる。」一方で、消費者にとっても、お店、品物を選ぶ、「選択の自由」が担保されると共に、安く買うことができる、と述べた。

卸売市場が生産者、消費者双方にとって、重要な役割を果たしている、と藤島氏は強調した。

 

■市場の活性化に必要な事

卸売市場は経営率が低下している。今後、市場の活性化に何が必要か、との質問に対し、まず、現在ネット販売等流通ルートが多様化している点については、「様々な購入先があるのはよいことなので進めていくべきである」と藤島氏は述べた。

そして、経営率低下の原因は「加工品が増えていることである」とした。現在、卸売市場は卸売市場法に基づいて生鮮食品等(「等」とは花き)を扱っており、未だ市場は生鮮品を扱う所という認識で、「加工品を扱うノウハウがない。」という。

しかし現状として、加工品が増えているので、「加工品が増えてくればくるほど市場の経営率が低下することになっている」と指摘した。

藤島氏は、加工品が増えている理由の一つに高齢化が挙げられる、という。高齢者は体力の衰えや単身者の増加で、外食や中食(なかしょく:弁当や惣菜等出来合いのものを買ってきて自宅で食べる)を利用するようになるからである。

そして、藤島氏は「中食企業、レストランもチェーン・企業化している。」ことを指摘した。理由として、生ものを調理することは、人件費や残り物を産業廃棄物として出さなければならないこと、また衛生等、様々な問題が発生することを挙げた。その結果、加工品の出回り量が増えているという。

加工品の中では特に「野菜が増えてきていて、ポテトチップス等含め少なくとも(市場に出回る)3割以上が加工品である。さらに、果物はジュースが多いが半分近くが加工品である」。

このように結果として市場の経営率が徐々に下がってきている。市場の活性化には、「(生鮮食品だけでなく)加工品も取り扱えるようにし、また、中食・外食等の業務用に対応できるようにするべきだ。」と強調した。

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