「日本は改憲せよ」トランプ弾劾案提出議員
Japan In-depth / 2017年7月21日 1時30分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・民主党シャーマン議員が7月にトランプ大統領弾劾決議案提出。
・日本の識者の観測と違い、弾劾の実現可能性は低い。
・シャーマン議員、下院公聴会にて、日米安保の不均衡を指摘、憲法改正と防衛費増額を求めた。
■民主党ベテラン議員、大統領弾劾決議案提出
ワシントンでは連邦議会の民主党ブラッド・シャーマン下院議員が7月12日、トランプ大統領に対する弾劾決議案を提出したことがちょっとした話題となった。
大統領に辞任を迫る弾劾の手続きはまず下院で半数以上の賛成を得なければ、始まらない。いまの下院はトランプ大統領を支持する共和党が多数派だから、この弾劾決議案は前進する見通しはない。だからこそその決議案の提出は「ちょっとした話題」にしかならなかったのだ。
日本の大手メディアもこのシャーマン議員の動きを報じていた。新聞でもごく小さな扱いだった。この決議案への賛同はシャーマン議員のほかには同じ民主党議員ただ1人だけだったこともきちんと報道されていた。
日本側のいわゆるアメリカ通の“識者”たちの間では、もっぱら「トランプ大統領への弾劾が近づく」という観測がこのところしきりだった。だが実際に弾劾の決議案が公式に出てきても、アメリカでも、日本でもメディアの扱いはこんな程度なのだ。アメリカの国政の現状をみれば、当然の反応だろう。現実の弾劾がはるか彼方にあることの反映だろう。
周知のように、定員435人の下院ではいま共和党が過半数の240議席を占める。民主党は194議席に過ぎない。トランプ大統領はその共和党が公式に指名した候補なのだ。だから民主党が大統領弾劾を実際に進めるには過半数の218議員の賛同が必要となる。現在では24議席も足りないわけだ。だから弾劾手続きが進む見通しはいまはないといえるのだ。日本の識者の見解とアメリカの政治の現実との間にはかなりの距離があるといえよう。とくに目新しい現象ではない。
■シャーマン議員日本に「改憲」求める
さてその弾劾案を出したシャーマン議員とはどんな人物なのか。
民主党内では超リベラル派、トランプ政権への反発も激しい。そのシャーマン氏はカリフォルニア州の選出、当選11回のベテランでもある。だがそのシャーマン議員が日本の憲法についてきわめて明確で強固な意見を再三、述べてきたことは日本側ではほとんど知られていないだろう。その日本憲法論は憲法改正論なのである。
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