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金正恩に無視された文韓国大統領

Japan In-depth / 2017年7月23日 23時4分

金正恩に無視された文韓国大統領

朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

【まとめ】

・韓国提案「南北軍事当局会議」・「南北赤十字会談」に対し、北朝鮮無反応。

・文寅在大統領「ベルリン構想」は韓国憲法違反。日米との協調揺らぐ。

・主導権は北朝鮮側に。遠のく核ミサイル問題。

 

韓国政府は7月17日、北朝鮮に対し軍事境界線付近での敵対行為を中止するための南北軍事当局会談と、南北に別れて暮らす離散家族の再会に向けた南北赤十字会談を突然提案していたが、開催日に指定した21日になっても北朝鮮は無反応だった。

文在寅政権は、「金正恩斬首作戦」を進めた朴槿惠政権に対する徹底した政治報復と米国に対する「面従腹背」で、金正恩に対する精一杯の「媚び」を売ってきたが、「レベルが低すぎる寝ごとのような提案」と受け取られたようだ。ここまでバカにされても文政権は未練を捨て切れず「21日以降も北朝鮮の反応を待ってみたい」と言っている。

文大統領による今回の提案が不発に終わったのは、一言で言って情勢判断がズレていたためだが、問題なのは米国との事前協議もなく突然北朝鮮に提案したことである。これによって米韓首脳会談(6月)での合意と米韓日の協調体制にひびが入った。

ではなぜ文大統領は同盟国家との信義まで傷つける拙速な行動に出たのか?

その直接的動機は、「南北対話で少しでも早く成果を出し、北朝鮮核ミサイル問題解決で運転席に座りたい」との欲と焦りからだと見られるが、根本的には文大統領がドイツ・ベルリンで示した(7月6日)「新韓(朝鮮)半島平和ビジョン」、いわゆる「ベルリン構想」と密接に関係している。

文大統領は「ベルリン構想」について、2000年の金大中元大統領の「6・15共同宣言」と、その具体化である盧武鉉の「10・4首脳宣言」を継承するものと演説したが、この「6・15共同宣言」こそが問題の元凶なのだ。

「6・15共同宣言」では韓(朝鮮)半島の統一について、北朝鮮の「低い段階の連邦制統一案」と金大中の私案である「国家連合制統一案」に共通性があるとして、この方向で進めるとしたが、そこには韓国憲法4条で定められた統一原則、すなわち「大韓民国は、統一を指向し、自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立し、これを推進する」との文言は見当たらない。

そのため、この宣言を強調すればするほど韓国憲法から離反し北朝鮮の統一戦線戦略に操られ翻弄されることになる。もちろん米韓同盟も弱体化する。「6・15共同宣言」が韓国憲法違反と指摘される所以である。

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