何ファーストの会? 東京都長期ビジョンを読み解く!その55
Japan In-depth / 2017年8月4日 10時6分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
【まとめ】
・都民ファーストの会が各種団体からのヒアリング開始。
・「新しい政治」の行動が見られない。団体ではなく都民からヒアリングすべき。
・団体ヒアリング結果の公開を求める。
■音喜多氏が語る崇高な理念
都議選の喧騒から一か月。都民ファーストの会が何やら動き出した。
都民ファーストの会は7月25日に業界団体とのヒアリングを行った。予算編成を前に、各種団体からのヒアリングを開始し、8月上旬まで約100団体から様々なご意見を聞くそうだ。
確かに、各種団体に所属する企業の多くは都内企業だろうし、会員の多くは都民だろう。なので、そこから意見を聞くのは理にかなっている。業界団体と関係を構築し、色々な意見をもらうということは大事なこと。都庁(行政)からどういった扱いを受けているのか、困っているのか、例えば、条例や規則に縛られてビジネスに支障がある、などいろいろなことを知れる。
音喜多駿都議会議員は言う。「業界団体が選挙で応援する→選挙の恩返しを予算措置で行う→また業界団体が御礼で選挙の応援をする→以下繰り返し・・・といったような古い政治のやり方に陥らないよう、十分に注意を払っていく必要があるでしょう」(ブログより)と主張する。この姿勢はさすがである。
■本末転倒?
音喜多氏は言う「各種団体と向き合うこと=既得権益との癒着とは必ずしも限りません。そもそも様々な業界団体は、現場の意見や利用者の声を効率よく政治・行政に届けるために組織されたものです」(ブログより)と。
確かに、業界団体ほど、政策を囲む環境について知識を持っている。そこから現状や問題点を聞く行為は政治の素人が多い都民ファーストの会にとっては大事な機会である。
しかし、大体こういったヒアリングは、団体側の要望を伝える場になりがちである。団体は組織化の目的から、その団体にとってメリットになることを求める。団体の所属会員のために動くわけで、その中でも優先順位が高いのは仕事の機会を得ること。
そう考えると予算化を要望するのは当然の行為なのだ。通常なら、様々なやり方で目的達成のための巧みな手段を繰り出すだろう。さらに、現状認識は自分たちにとって都合の良いものになりがちである。
そもそも、ヒアリングの目的を各種団体がどうとらえているのか。予算要求の場として捉えているかもしれない(本音ベースで言えば)。
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